loading...

ちくま文庫

[増補]お砂糖とスパイスと爆発的な何か

——不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門

いつのまにか、「男子」の眼で観てない?

フェミニストの視点をもてば、作品はもっと面白くなる! 見たい映画とドラマと本と舞台がどんどん増える、刺激的な批評集が大幅増補で文庫化。

定価

990

(10%税込)
ISBN

978-4-480-44008-2

Cコード

0195

整理番号

-44-1

2025/02/06

判型

文庫判

ページ数

368

解説

内容紹介

ミス・マープルの本当のすごさや、文学史に輝く “キモくて金のないおっさん”を描いた名作、そして新時代のディズニーアニメの悪戦苦闘。あの名作が100倍面白くなり、見たい映画とドラマと本と舞台がどんどん増える、フェミニスト批評集がついに文庫化!
書き下ろし「どうもありがとう、パメラ・アンダーソン」を含む、型にはめない、はまらないものの見方を教えてくれる批評6本を増補してお届けします。

装画 小林紗織
カバーデザイン 名久井直子

目次

まえがき 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門

1 自分の欲望を知ろう
さよなら、マギー ――内なるマーガレット・サッチャーと戦うために
バーレスクってなんだろう?
BL視点で読む『嵐が丘』 ――関係性のセクシーさを求めて
檻に入っているのは、犬じゃなくて私 ――ヴァージニア・ウルフ『フラッシュ』
女はなぜ悪い男にばかり引っかかるのか? ――『西の国のプレイボーイ』に見る良い男、悪い男
〈コラム〉初任給とヴァージニア・ウルフ

2 男らしさについて考えてみよう
キモくて金のないおっさんの文学論 ――『二十日鼠と人間』と『ワーニャ伯父さん』
アメ車、男たちの絆、この惑星最後の美しき自由な魂 ――『バニシング・ポイント』
対等な女を怖がる男たち ――男の幻想に逆襲する喜劇『負けるが勝ち』
プリンセスは男のロマン! ――映画に出てくるお姫様と男たち
ロマンティックな映画としての『ファイト・クラブ』
〈コラム〉発展を続けるバーレスク

3 ヒロインたちと出会おう
シェイクスピア劇の魅惑のヒロイン、無限に変化する女王クレオパトラ
世紀末の悪女? 自己実現のため戦うヒロイン? ゲイのアイコン? ――オスカー・ワイルドの『サロメ』
べ、別にあんたのためにツンデレを分析してるわけじゃないんだからね! ――シェイクスピア『十二夜』を考える
ディズニーに乗っ取られたシンデレラ ――民話の変貌をたどる
理想宮か、公共彫刻か? ――『アナと雪の女王』
〈コラム〉北米のシェイクスピア祭

4 わたしたちの歴史を知ろう
女の子がムラムラしてはいけないの? イギリス文学における女と性欲
「#女性映画が日本に来るとこうなる」の「女性映画」ってなに? ――変わりゆく女たちの映画
女性映画としてのトランスジェンダー女子映画 ――『タンジェリン』と『ナチュラルウーマン』
読書会に理屈っぽい男は邪魔? 女性の連帯を強める読書会の歴史を探る
ミス・マープルは何でも知っている ――変わりゆくアガサ・クリスティの世界
〈コラム〉フェミニストの洋服えらび

5 ユートピアとディストピアについて考えよう
愛の理想世界における、ブス ――夢見るためのバズ・ラーマン論
隠れたるレズビアンと生殖 ――『わたしを離さないで』
父の世界からの解放 ――「フェミニスト的ユートピア」を描いた『バベットの晩餐会』
「女だけの街」を考える
女は自由な社会の邪魔者なの? ――ディストピアSFの性差別
〈コラム〉『ダウントン・アビー』と女性参政権運動

6 型にはめない、はまらない
『人魚姫』は何の話なのか? ――『リトル・マーメイド』の原作に戻る
ビ ートルズが歌う「ボーイズ」はなぜ面白いか ――歌手のジェンダーと歌詞のジェンダーステレオタイプ
ハリー・ポッターとイギリス文学における同性愛 ――『ハリー・ポッターと死の秘宝』精読
レズビアン死亡症候群、サイコレズビアン ――ステレオタイプなマイノリティ描写はなぜ問題?
発達障害と診断された私 ――ASDとADHDだとわかるまでに出会った本や映画について
どうもありがとう、パメラ・アンダーソン

単行本版あとがき 批評家は探偵
文庫版あとがき お砂糖とスパイスの賞味期限

著作者プロフィール

北村紗衣

( きたむら・さえ )

北村 紗衣(きたむら・さえ):1983年生まれ。武蔵大学人文学部英語英米文化学科教授。専門はシェイクスピア、舞台芸術史、フェミニスト批評。ウィキペディアンとしても活動する。著書に『シェイクスピア劇を楽しんだ女性たち』(白水社)、『批評の教室』(ちくま新書)、『お嬢さんと嘘と男たちのデス・ロード』(文藝春秋)、『女の子が死にたくなる前に見ておくべきサバイバルのためのガールズ洋画100選』(書肆侃侃房)がある。

「ちくま文庫」でいま人気の本

これから「大人」になる人たちへ