田中圭一
( たなか・けいいち )1931年新潟県佐渡郡金井町生まれ。新潟大学人文学部経済学科卒業。佐渡高校教諭を経て、88年筑波大学教授、94年群馬県立女子大学教授などを歴任。従来の、武士を中心とした「日本近世史」の史観に異議を唱え、当時の一般庶民である百姓こそが時代の主役であったという視点を、村々に残る史料をひもときながら主張しつづけている。著書に『佐度金銀山の史的研究』(第9回角川源義賞受賞)、『帳箱の中の江戸時代史』(新潟日報文化賞受賞)、『日本の江戸時代』ほか多数。2018年没。
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江戸時代の日本について、鎖国によって孤立し停滞した封建制社会であったと受け止める傾向がある。また、農民や町人は、厳しい身分制度でがんじがらめの支配を受けていたと信じられがちである。しかし村々に残る資料をみて歩くと、この時代の百姓たちは自ら所有する土地を耕しながら布や酒をつくって店をひらき、さらには寄合の協議で村の運営を動かすこともあったことなどが分かってくる。江戸時代はむしろ、元気な百姓が主役の、近代的な前期資本主義社会だったのだ。支配者史観を覆し、庶民の視点から江戸時代の歴史を読みなおす。 解説 荒木田岳
序章 「日本近世史」のあやうさ
第1章 百姓を独立させた検地
第2章 身分社会の終焉
第3章 法と制度のからくり
第4章 新しい社会の秩序
第5章 百姓の元気
第6章 民意が公論となるとき
第7章 村に学んだ幕閣
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