森敦
( もり・あつし )森 敦(もり・あつし):1912-89年。小説家。長崎県生まれ。旧制一高中退。横光利一に師事。1934年、「酩酊船」を新聞連載し、太宰治、檀一雄らと「青い花」を創刊。新鋭作家として期待されるも、以降30年に及ぶ転居・放浪生活を送る。50歳を過ぎ東京に戻る。74年、「月山」で芥川賞受賞。主な著書に『月山・鳥海山』『われ逝くもののごとく』『わが青春 わが放浪』などがある。
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<全体=内部+境界+外部>であり、境界は内部→外部、また外部→内部と意味を変容し得る──。他に類を見ない数学的・哲学的スタイルで近代日本文学の常識を覆した『意味の変容』。若き日を放浪のうちに過ごした異能の作家・森敦が、光学工場やダム建設現場での思索を結晶させた究極の私小説であり、その理論を代表作『月山』などにおいて具現化した文学論でもある。新編にあたり、空海の足跡を辿りつつ真言密教を独創的に読み解いた『マンダラ紀行』、京城で過ごした幼少期に始まる豊饒な半生をユーモラスに語り尽した『十二夜』を併録。森敦の思想の全貌を明らかにした決定版。
意味の変容
寓話の実現/死者の眼/宇宙の樹/アルカディヤ/エリ・エリ・レマ・サバクタニ
意味の変容 覚書
マンダラ紀行
十二夜 月山注連寺にて
解題(井上明芳)
『意味の変容』論──「解説」にかえて(柄谷行人)
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