酒井健
( さかい・たけし )酒井 健(さかい・たけし):1954年生まれ。法政大学名誉教授。東京大学大学院人文社会研究科博士課程修了。専門はフランス現代思想、西欧文化史。著書に『バタイユ入門』『ロマネスクとは何か』(以上、ちくま新書)、『「魂」の思想史』(筑摩選書)、『ゴシックとは何か』(ちくま学芸文庫)、訳書にバタイユ『エロティシズム』『純然たる幸福』『呪われた部分』(以上、ちくま学芸文庫)ほか多数。
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シュルレアリスムは、ブルトンらを中心とした芸術運動にとどまらない、第一次大戦後の幅広い文化運動だった。バタイユやベンヤミンらの思想を補助線として、その革命精神の深層を読み解き、日本における従来のシュルレアリスム観を刷新する名著。シュルレアリスムとは脱近代の運動であること、物事を計算可能にし、システムに回収しようとする近代社会の狭隘な精神への反抗であることを明晰に説き明かす。旧版を大幅に改訂し、思想、芸術、時代背景を中心に新たな展望を切り開いた完全版。本邦初訳のバタイユ講演録「シュルレアリスムの宗教」も収録。
まえがき
第1章 戦争と超現実
1 怒り
2 戦争のなかの超現実
3 文明への疑い
第2章 シュルレアリスムの誕生
1 狂気と夢
2 自動記述
3 超現実
第3章 近代都市のなかで
1 バタイユと不可能なもの
2 アラゴンと理想主義
3 ブルトンと美の体験
第4章 政治と芸術
1 イメージの政治学
2 政治的視野の拡大と深化
3 超現実の新たな相貌
第5章 シュルレアリスム絵画の魅力
1 先駆者たち
2 暴力のマニエラ
付録 ジョルジュ・バタイユ「シュルレアリスムの宗教」(講演録)
討論
参考文献
あとがき
図版出典一覧
人名索引