第一章 嘘をつくとは何をすることか
1 嘘をつくことと騙すこと――行為と意図
2 言語行為論の枠組みで嘘を考える
3 嘘をつくことと間違ったことを言うこと――「真」と「信」
4 嘘の標準的定義を考える――演技性の導入
5 嘘と皮肉の違いとは
6 嘘と冗談の違いとは
7 サプライズのための嘘――嘘でないかもしれない
8 自分に嘘をつく――つきたくない嘘をつく局面
9 嘘に騙す意図は必要ないという説――批判的検討
第二章 嘘をつくことはどう悪いのか
1 相手に害を与えるとは――害説の見方
2 心の傷を害として理解できるだろうか――尊重説への道標
3 嘘をつくことは自分も苦しめる――害説の別の局面を探る
4 善意の嘘――必要ないかもしれない
5 相手に対する尊重を欠くとは――尊重説の見方
6 現実に閉じこもらない――理想を語る哲学
第三章 それでもなぜ嘘をつくのか
1 言葉を学ぶためには嘘を学ばねばならない
2 嘘をつきながら世界で生きる地歩を築く
3 嘘の演技性と身体性
4 内面(心)をもつことの実践としての嘘
5 正直さとは――心の葛藤と自分を大切にすること
6 自分らしさを求めて――誠実さの倫理