「お金のこと」も
「社会をよくすること」も
考える。
経済学者が日々考えているのは「世の中をよくするための仕組み」です。
伝統的経済学、行動経済学の考え方の本質と、学問全体の見取り図がわかる「経済学」入門!
第一人者が案内します。
大竹文雄、最新著書!
(大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授、大阪大学大学院経済学研究科教授(兼))
「私はなぜ経済学を学び、
経済学は今、何ができるのか」
を語り尽くす。
【「はじめに」より】
皆さんは「経済学は自分がお金儲けすることばかり考える分野だろう」と思っていませんか? それは経済学に対する大いなる誤解です。……
実際の経済学には、お金やお金儲け自体を研究する分野はあまり多くありません。お金そのものを研究対象にしているのは、金融という分野です。経済学では、企業がお金儲けを目標にして経営されていることを前提にしていますが、だからといって、お金儲けをする方法を経済学者が研究しているわけではないのです。
私を含め、経済学者が日々考えているのは「世の中をよくするためにどうすればよいのか」ということです。具体的には、貧しい人を少しでも豊かにするにはどうすればいいのか、どうすれば失業者を減らせるのか、公的な医療保険をどうすれば維持できるのか、という社会をよりよくするものが典型的です。それだけではありません。老後の生活のための貯蓄をする、宿題を先延ばししないようにするといった目標達成のための方法、職場での労働意欲を高める方法、子育てのヒント、といった家庭や職場をよりよくするための方法も考えているのです。このように、経済学の考え方に基づいて、世の中の動きや仕組みを解釈したり、解決策を提案したりするための研究をしているのが経済学者です。
……この本では、どうすれば社会はよりよくなるのかをいつも考えている経済学者のアタマの中を紹介します。