まず理解してほしいのは、『金持ち父さんの投資ガイド』にも書いたように、「投資の方法はたくさんある」ということだ。だから私は「ああしてはいけない、こうしてはいけない」とは言わず、「私がどのような投資をしているか」をお話しするだけだ。

あえて言うが、私は今の株式市場をまったく信用していない。経済のファンダメンタルズを見れば、問題を解決できないのは明らかだ。株に投資する人のほとんどは、値上がりした時のキャピタルゲイン狙いだ。だが株価が上昇するのは、操作されているからにすぎない。高値づかみした人たちは市場が暴落したときにツケを払うことになる。

次に暴落が起これば、史上最大の暴落になるだろう。『金持ち父さんの予言』に書いたように、今の私の予想では2014年から2018年のどこかで暴落が起きる。予想が当たらなければいいと心から願っているが…。最大の問題は原油価格が上がり続けていることだ。原油は潤沢にあるが精製コストがかさみ、より深く掘らないと採れなくなっている。そして、原油価格が上がれば景気は悪くなる。

私はもう、株もＥＴＦも投資信託も買わない。米国政府もＦＲＢも米国ドルも、信用していない。筋金入りの「実物資産（ハードアセット）」投資家であるジム・ロジャースも、同じ考えのようだ。では何に投資するかというと、たとえば銀を買うのもいいかもしれない。銀は世界中の埋蔵量を合わせても、あと12年しかもたないと言われている。ドル紙幣という紙切れを貯めるより現物の銀を買っておく方が、20年後に生き残る確率は高くなると言えるだろう。

人口減少は非常に重要なポイントだ。不動産投資は、「雇用」の無い場所では成功しない。雇用による人口増加が見込めない地域の物件には、私は絶対手を出さない。昨年は４００戸の住宅と３８カ所の原油採掘井戸を買い増しした。どちらも「キャッシュフロー」を生んでくれるからだ。

ここで「富の３つのレベル」について説明しよう。第１のレベルは「資源」。食糧、石油や金、水などだ。米国ではいま水がどんどん高くなっている。この前キムと私は川が流れる土地を買った。私が住む米国の砂漠地帯では、水源があると土地の価値が高くなる。

第２のレベルは「起業」だ。「起業家」とは、資源をお金に変える能力を持った人だ。私の会社は石油に投資している。原油を採掘して商品にしているわけだ。そこにはお金を儲けるための「ビジネスのノウハウ」がある。

第３のレベルは「紙（ペーパー）」で、貯蓄、株式、債券、ＥＴＦなどだ。大半の人はこうした金融商品を買うが、それらには裏付けがない。私からすると危険極まりない話だ。

私は第１のレベル「資源」と、第２のレベル「起業」で勝負している。第３のレベルは大企業の領域だ。エクソンとかゼネラルエレクトリックといった大企業のね。原油のような資源の価格が高騰すると、真っ先に大企業が痛手を受け、株が下がるというわけだ。

それはとてもいいことだね。従業員でいることが以前より安定につながりにくくなっているのは確かだ。私は以前から、「昼間の仕事を続けながらパートタイムで起業しなさい」とアドバイスしてきた。空き時間を使ってのビジネスでも自分のビジネスを持てば、それがあなたをより賢い起業家に育ててくれるからだ。

今は、私が若かった頃よりはるかにビジネスを始めやすくなっている。携帯電話１つで世界を相手にしたビジネスが可能だ。通信コストも安くなったし、ビジネスを始めるのには素晴らしい時代だ。ただ、他の人よりも素早くて頭がよくないと勝てないし、古い考えはもはや通用しないことは肝に銘じておこう。

多くの人が犯す間違いは、「金儲けのために起業すること」。そうではなく、「どんな問題を解決すべきか」と自分自身に問いかけよう。問題を解決できれば結果的に儲けることができる。だからまず解決すべき問題を探し出し、次に解決方法を見つければいい。

誰もが抱える多くの問題のうちひとつでも解決できたら、あなたは金持ちになれる。たとえば肥満に悩む人たちをすっきり痩せさせることができたら、ミリオネアやビリオネア（億万長者）どころかトリリオネア（一兆長者）になれる。これこそが起業家の極意だ。

私にとって、解決すべき問題とは「教育」だった。今の世界の問題は、お金の教育がきちんとなされてこなかったことに起因している。だから私とキムはファイナンシャル教育の会社を立ち上げて、世界中にお金の教育を提供している。ゲームを楽しくプレーすることから始めて起業家や投資家になるために学ぶ教育だ。ドナルド・トランプとの共著『ミダスタッチ』にも書いたが、私たちは世界にはもっと起業家が必要だと考え、起業家や投資家を育てていこうとしている。

夫婦で投資をするのは素晴らしいことだと思うわ。一緒に学び実体験することが大切だと思う。私たちも経済に何が起きているかといった本を一緒に読んでいるところ。

知り合いに不動産投資を学んで物件を見たり銀を買ったりしている夫婦がいるけれど、子どもが興味を持って新聞で銀の価格をチェックするようになったと聞いたわ。学校ではしてくれないお金の教育を親がすれば、子どもの将来のためになるわね。

資産はビジネス、不動産、ペーパーアセット・コモディティの三つに分けられる。私は不動産投資を数多く手がけていて、ロバートは石油や銀のビジネスが大好き。それぞれが好きなものをやる場合も、話し合いは大事ね。

男性はプライドが高くて、知ったかぶりをすることがあるから要注意。女性は「知らない」「教えて」と言えるから投資に向いているのかも。どちらも大事なのはまず教育を受けて、小さく始めること。地道に続けていけば問題は解決するわ。間違いを犯すことを恐れず行動するように、考え方を変えることが大事。そして、アドバイスを受けたいときにサポートしてくれる体制を持ち、励ましてくれる人に囲まれることも必要だと思うわ。