仲正昌樹
( なかまさ・まさき )1963年生まれ。東京大学総合文化研究科地域文化研究専攻博士(学術博士)。現在、金沢大学人間社会環境研究科教授。主な著書に『「不自由」論』(ちくま新書)、『集中講義! 現代の現代思想』(NHKブックス)などがある。
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貨幣は、ありとあらゆる“もの”の売り買いを可能にする。性愛や人体、イメージですら、その対象となってしまう。しかも貨幣は、私たちの「闇」に潜む欲望をかきたて続ける。だが貨幣は、「神」や「聖なるもの」の権威が失墜した現代社会にあって、「正義」を実現させる媒体でもある。この矛盾した性質をもつ貨幣は、私たちの「欲望」によって、「妖怪」のごとく自己増殖してゆく。こうした中で、私たちは貨幣とどうつき合ったらいいのか?「貨幣」的現実の深層を探り、現代社会の「正義」の臨界点を指し示す。
第1章 神なき時代の「正義」と「貨幣」(「正義」を計算する?
命に「値段」をつける現代社会 ほか)
第2章 貨幣化された世界と「私」(「無」から「価値」を創り出す錬金術
貨幣は「闇」に潜む欲望を解き放つ ほか)
第3章 貨幣から見える“真実”(「不在の貨幣」を軸にした文学作品群
貨幣に縁取られた「小さな現実」 ほか)
第4章 「正義」を創造する貨幣(正義の「メディア」としての貨幣
『海辺のカフカ』における貨幣 ほか)
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