地域再生の罠 ─なぜ市民と地方は豊かになれないのか?
あの都市、
活性化に成功したって
ホントなの?
活性化は間違いだらけだ! 多くは専門家らが独善的に行う施策にすぎず、そのために衰退は深まっている。このカラクリを暴き、市民のための地域再生を示す。
- シリーズ:ちくま新書
- 880円(税込)
- Cコード:0231
- 整理番号:853
- 刊行日:
2010/07/05
※発売日は地域・書店によって
前後する場合があります - 判型:新書判
- ページ数:256
- ISBN:978-4-480-06562-9
- JANコード:9784480065629
- 在庫 ×
社員を大切にしない会社は歪んでいく。それと同じように、市民を蔑ろする都市は必ず衰退する。どんなに立派な箱物や器を造っても、潤うのは一部の利害関係者だけで、地域に暮らす人々は幸福の果実を手にしていない。本書では、こうした「罠」のカラクリを解き明かし、市民が豊かになる地域社会と地方自治のあり方を提示する。
第1章 大型商業施設への依存が地方を衰退させる
第2章 成功事例の安易な模倣が地方を衰退させる
第3章 間違いだらけの「前提」が地方を衰退させる
第4章 間違いだらけの「地方自治と土建工学」が地方を衰退させる
第5章 「地域再生の罠」を解き明かす
第6章 市民と地域が豊かになる「7つのビジョン」
第7章 食のB級グルメ化・ブランド化をスローフードに進化させる―提言1
第8章 街中の低未利用地に交流を促すスポーツクラブを創る―提言2
第9章 公的支援は交流を促す公益空間に集中する―提言3
2010.7.27 こんな婿が欲しい女
亭主から「この本、へたな映画より感動するよ」と手渡されて読みました。口数少ない亭主が私に伝えたい感動とは、前の樋口淳一郎様も言うように、著者と義母との会話を通して、著者が義母の生き様や店での光景に感銘して価値観と仕事を変えて、日本の地域再生に立ち向かっていく姿への感動だと思う。
この6章は読んでいて、泣けました。娘が結婚した時、婿とこんな時間を過ごせたら、どんなに幸せだろうと。亭主もきっとそう思ったに違いない。この本は会話の少ない私たち夫婦に「共に感動して、心が繋がる」きっかけを与えてくれました。 地域再生を願う著者の体験を赤裸々に綴った本書から、夫婦仲(家庭)再生という贈り物を頂きました。
この本を纏め買いして仲間にも勧めようと思い書店へ行きましたが、売れ切れとのこと。この思いを多くの人に伝えたくて、こちらへ感想を送ります。
この著者の次作、楽しみにしています。
2010.7.15 樋口淳一郎
本書の究極点は、著者の義母の言葉にある。著者はIBMに勤務しており、義母の店舗で提供する食事の正常価格は今の三倍だ、と説得した。顧客回転率等、超一流企業勤務者の常識からそう説得したのである。
「顧客が一時間以上もいるのは顧客回転率が悪く、値上げが必要という著者の提案に義母は「自信をもって次のように反応した。
「それは、なんとか回転率が悪いのではなく、顧客が居心地よくて幸せを感じている。幸せを感じてくれるから、後に何度も来てくれるし知人も連れてきてくれる」
私は考える。
幸福で一時間以上いられる店ということを出店コンセプトにする店はあるまい。
心に悔い改めの必要があるようにさえ感じられた。
マックス・ヴェーバーでいえば「使徒預言」的な著者の義母の言葉である。
ところで、本書の終わりにB級グルメの話題があるが、B級という呼びならわし方には違和感が以前からあった。
食事にはA級もB級もない
美味しい美味しくないがあるだけだ
そう思う。
町は意図的に美しく残るものではない。
全国を少し回って思うのはそのことだ。
町は美しく造るのではなく、自然に美しい町だけが残る。
再生ありきで再生が無理であると同様だ。
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