保立道久
( ほたて・みちひさ )1948年東京生まれ。専攻は日本史。国際基督教大学教養学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修了。東京大学史料編纂所元所長。現在、同大学名誉教授。主な著書に、『平安王朝』『歴史のなかの大地動乱』(岩波新書)、『平安時代』(岩波ジュニア新書)、『かぐや姫と王権神話』(洋泉社新書)、『物語の中世 神話・説話・民話の歴史学』(講談社学術文庫)がある。
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中国古代の社会に深く根ざした『老子』。そのテクストは、人の生死を確かな目で見つめ、宇宙と神話の悠遠な世界を語り、世のために恐れずに直言する、苛烈な戦国時代を生きた一人の思想家の姿を伝えている。この大古典を少しでも読みやすく、深く味わうために、本書はテーマによって内容を整理し、謎に包まれたテクストを明快に解きほぐす。二千年以上も読み継がれてきた中国の精髄へ、大胆かつ精密に接近し、そこに日本の神話と神道の原型を発見する。
序 老子と『老子』について
第1部 「運・鈍・根」で生きる(じょうぶな頭とかしこい体になるために
「善」と「信」の哲学
女と男が身体を知り、身体を守る
老年と人生の諦観)
第2部 星空と神話と「士」の実践哲学(宇宙の生成と「道」
女神と鬼神の神話、その行方
「士」の矜持と道と徳の哲学
「士」と民衆、その周辺)
第3部 王と平和と世直しと(王権を補佐する
「世直し」の思想
平和主義と「やむを得ざる」戦争
帝国と連邦制の理想)
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