loading...

ちくま新書

よみがえる田園都市国家

——大平正芳、E・ハワード、柳田国男の構想

近代都市計画の祖・ハワードが提唱した田園都市は、柳田国男、大平正芳の田園都市国家構想へとどのように受け継がれてきたか。その秘められた系譜に光を当てる。

定価

990

(10%税込)
ISBN

978-4-480-07545-1

Cコード

0236

整理番号

1716

2023/03/07

判型

新書判

ページ数

256

解説

内容紹介

一九八〇年に当時の大平正芳首相のもと、当代一流の知を結集してつくられた「田園都市国家構想」。それは人間的で文化的な国家を目指すすぐれた長期的国家ビジョンであった。その構想の原点となったエベネザー・ハワードの田園都市構想、それを発展させた農政学者・柳田国男による知られざる日本独自の分権的田園都市構想を検証。大平構想にあった家庭や地域コミュニティ、自然や文化の回復、そして国家と都市、地方が調和して発展するというビジョンを二一世紀に再生させる試み。

目次

序章 いまなぜ田園都市国家構想なのか(大平構想という長期的国家ビジョン
政府の経済政策と長期的ビジョンの不在
哲学のある長期ビジョンへ
思いつきではなかった大平構想)
第1章 大平正芳の田園都市国家(哲人政治家とブレーンたち
報告書『田園都市国家の構想』
報告書が示す具体策とその限界
田中角栄『日本列島改造論』との比較)
第2章 E・ハワードの田園都市(「原点?」としての江戸期日本
構想と実現―レッチワースなど
J・ジェイコブズの批判!―「計画」か「多様性」か
日本への導入)
第3章 柳田国男の田園都市国家(ハワードと内務省の田園都市構想への賛同と反発
『都市と農村』の理想と現実(1)
「地方文化建設の序説」への寄り道
『都市と農村』の理想と現実(2)
「中農養成策」の顛末
柳田の自然観
柳田から見た『田園都市国家の構想』
柳田から見た『家庭基盤の充実』
時代的制約を超えて)
第4章 二一世紀の田園都市国家(穏やかな経済成長
家庭、地域コミュニティ、自然への配慮
「地方消滅」と人口減少の危機への対応
AIとITに負けない田園都市国家
田園都市国家の総合的安全保障)
補章 コロナ、そして死とともにある時代に(史

著作者プロフィール

佐藤光

( さとう・ひかる )

佐藤 光(さとう・ひかる):1949年生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科博士課程中途退学。大阪市立大学名誉教授。博士(経済学)。社会経済論・宗教経済学専攻。著書『マイケル・ポランニー』(講談社選書メチエ、2010年)、『カール・ポランニーの社会哲学』(ミネルヴァ書房、2006年)、『柳田国男の政治経済学』(世界思想社、2004年)など。

お詫びと訂正

2023年3月10日発行『よみがえる田園都市国家――大平正芳、E・ハワード、柳田国男の構想』(佐藤光著、ちくま新書)第1刷に誤りがありました。下記の通り訂正し、お詫び申し上げます。

14頁・前から8行目:【誤】各地では始められている→【正】各地で始められている
61頁・後から6行目:【誤】充実のために行政基盤→【正】充実のための行政基盤
66頁・後ろから3行目:【誤】備えることとの→【正】備えることの
77頁・前から5行目:【誤】村が停滞しているか→【正】村は停滞しているか
113頁・前から8行目:【誤】田園都市の需要→【正] 田園都市の受容
149頁・前から5行目:【誤】郷土精神であることは→【正】郷土精神などの崩壊であることは
151頁・後ろから2行目:【誤】時代ビジョン的制約→【正】時代的制約
193頁・後ろから2行目:【誤】二〇四頁→【正】二〇二頁
194頁・前から4~5行目:【誤】条件に恵まれ「限界集落」→【正】条件に恵まれた「限界集落」
227頁・前から6行目:【誤】パンデミックは→【正】パンデミックが
230頁・前から6行目:【誤】インターネットにおける→【正】インターネットによる
250頁・前から9行目の後に以下を追加
川田稔『柳田国男――知と社会構想の全貌』ちくま新書、二〇一六年
251頁・後から5行目:【誤】内閣官房/経済産業省→【正】内閣官房・経済産業省

本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。

  • [*]は必須項目です。おそれいりますが、必ずご記入をお願いいたします。
  • (ここから質問、要望などをお送りいただいても、お返事することができません。あしからず、ご了承ください。お問い合わせは、こちらへ)
  • ※お寄せいただいたご意見・ご感想の著作権は小社へ帰属し、当ホームページや小社出版物に転載させていただく場合がございます。
  • ※ご意見・ご感想への返信はいたしておりません。ご了承ください。

「ちくま新書」でいま人気の本

いま話題の本