はじめに 神戸というまちの魅力
第1部 近代
第1章 開港による都市形成
1 兵庫県の成り立ちと旧五国
旧五国と神戸(摂津)
2 神戸開港の前史――兵庫津のはじまり
近世の兵庫津
3 近世から近代へ――神戸港の開港
神戸港の誕生
4 開港に伴う都市形成
神戸外国人居留地の造成/神戸外国人居留地計画図/居留地の下水道布設とコレラの流行/雑居地の形成
5 神戸市域の成立と拡張
第2章 近代都市計画と水害の克服
1 地形とのつきあい方――河川改修の必要性
生田川の付け替えとフラワーロード/湊川の付け替えと新開地本通り
2 近代都市計画事業によるまちづくり・みちづくり
旧都市計画法による神戸の都市計画/神戸における鉄道敷設と街路事業/土地区画整理事業のはじまり
3 阪神大水害による被害と復興
阪神大水害と河川流域の被害/阪神大水害からの復旧・復興/湊川流域の氾濫と痕跡/戦後の水害と都市小河川改修事業の創設
第2部 1945~1995
第3章 戦時下神戸の市民生活と被災
1 防空啓発と市民の防空活動
開戦と言論統制下の地方紙/『神戸市公報』から『神戸市民時報』へ/『神戸市民時報』にみる防空のプロパガンダ
2 配給の滞りと食糧増産・農園化奨励
『神戸市民時報』にみる空閑地利用菜園/公有地の無断使用への注意/戦時下の戦災跡地利用と土地所有者の「協力」/戦後も続いた戦災跡地農園の終わり
3 戦争末期の都市疎開と神戸大空襲
都市疎開のはじまり/神戸市内の建物疎開事業/神戸大空襲の被害状況
第4章 闇市の発生と展開
1 走り出したそれぞれの「復興」
戦後の住宅難と都会地転入抑制/戦時下・戦後の移動と帰れない人びと/不作と配給統制の混迷による闇取引の発生
2 焼け跡の神戸に生まれた闇市
神戸の闇市と戦前三宮の場所性/大闇市「三宮自由市場」の生成と変容/神戸の闇市における経験
3 闇市からマーケット、商店街へ
中心市街地に定着した新興商業集積/拠りどころとしての戦時下の経験/鉄道高架下の商店街と料飲規制/元町高架通商店街の存続と業種
第5章 占領による場所性の喪失と発生
1 広域な連合国軍の駐留
占領のはじまりと神戸ベースの位置づけ/接収された土地・建物/〝KOBE〟の圏域と行政区域とのずれ
2 「接収」による生活環境の収奪
二つのキャンプの設置と経緯/キャンプ地返還と接収解除地整備事業/「接収」による場所性の変化と記録のつなぎ方/「進駐軍」と市民生活
3 旧神戸経済大学の接収と「六甲ハイツ」
占領軍家族住宅「六甲ハイツ」の立地選定/六甲ハイツの施設配置と建築の特徴/六甲ハイツの接収解除と神戸大学の統合
第6章 終わらない戦災復興事業
1 神戸市における復興構想と都市計画
描かれた都市空間の理想と現実/神戸市戦災復興基本計画の策定過程/戦災復興事業の見直しによる縮小/神戸市の戦災復興施策の特徴
2 戦災復興事業から都市改造事業へ
神戸国際港都建設法ができるまで/戦災復興事業の収束と土地区画整理の展開
第7章 伸びゆく神戸市の都市整備
1 都市改造事業の生みだした風景
戦災復興から都市改造へ/戦後神戸の都心形成/不燃防災建築物の建設促進/街路整備から「花と緑と彫刻」へ
2 「山、海へ行く」の都市開発
神戸港の築港から海面埋立てへ/山麓開発による団地造成/海上文化都市の誕生と「ポートピア´81」
第3部 1995~2025
第8章 阪神・淡路大震災と「復興」
1 震災の被害と復興
阪神・淡路大震災の被害/応急仮設住宅の設置/人びとの暮らしと復興
2 震災前後の連続/断絶
震災前の都市再開発/インナーシティエリアと震災/引き継がれた都市整備/震災復興再開発事業による復興
3 震災の記憶・記録
震災の記憶を伝える活動/触れづらい経験と時の経過/公共空間に託された出来事の記念/記録の役割と高まる存在感
第9章 新たな「神戸」へ
1 まちの更新と魅力向上
都心・三宮の再整備/暮らしの場を刷新し、守る
2 自然とともにある人間らしいまち
震災20年と「BE KOBE」/ニュータウンの再整備/海、山とともに生きる
3 「神戸」の記録をつなぐ取り組み
神戸市の収集する「資料」/後世に残すべき公文書の整理・保存/神戸市文書館から歴史公文書館へ
おわりに 「神戸」を語るのは誰か
参考文献
図版出典
年表
索引