ちくま学芸文庫
悪文の構造
─機能的な文章とは
千早耿一郎
著
loading...
『東海道四谷怪談』で、お岩の幽霊は燃える提灯からさかさまの姿で現れる。なぜ“さかさま”なのか。この恐怖の演出には、じつは根源的な必然性があった―“さかさま”という逆転の構図の背後に横たわる精神史に迫った「さかさまの幽霊」。世の中を“まさま”と“さかさま”との関係において見据え、幕末転換期の江戸の真実をリアルに切り取った鶴屋南北の世界を鮮やかに分析する「南北劇の構図」。芸能のさまざまな図像から、江戸庶民の意識と欲望、時代のエネルギーをスリリングに読み解く、歌舞伎のイコノロジー。文庫化にあたり、「河鍋暁斎の発想と表現」「図像の創成」の二編を増補。
1 歌舞伎のイコノロジー(南北劇の構図―“逆転”“混淆”の哄笑と恐怖
さかさまの幽霊
象引―芝居と絵画
和合神の図像)
2 歌舞伎の色彩論(辺界の色―黒の造型
赤のシンボリズム)
3 都市の中の芸能空間(四条河原の芸能と見世物
芝居と見世物のある風景)
補論(河鍋暁斎の発想と表現―対極・混淆・逆転の構図
図像の創成―貧乏神と和合神)
本書をお読みになったご意見・ご感想などをお寄せください。
投稿されたお客様の声は、弊社HP、また新聞・雑誌広告などに掲載させていただくことがございます。