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ちくま学芸文庫

かたり 

——物語の文法

馥郁たることばの世界へ

物語は文学だけでなく、哲学、言語学、科学的理論にもある。あらゆる学問を貫く「物語」についての領域横断的論考。 【解説: 野家啓一 】

定価

1,045

(10%税込)
ISBN

978-4-480-09133-8

Cコード

0110

整理番号

-24-1

2008/02/06

判型

文庫判

ページ数

208

解説

内容紹介

「歴史学は客観主義、実証主義の過度の呪縛から逃れ、小説の手法を用いながら、具体的な効果を現さなければならない」。この折口信夫の論を受け著者は、虚構―実録の双方根底に“かたり”という共通の基盤を見出した。歴史を伝える上で「(過去を)はなす」のか「かたる」のか、それら馴染み深い言葉の用法を比較しながら、物語を提示する「言語」の位相を考察。その帰結で科学の理論と、物語・詩との間に著しい類似点があることが披露される。カント研究第一人者でありながら、哲学の枠を超え、和洋の垣根なく、領域横断的な発想をもつ著者ならでは

目次

第1章 “かたり”の基底(詩と歴史
人文科学としての“かたり”
〈かたり〉の回路)
第2章 “かたり”の位相(言語行為としての“かたり”
“かたり”と“はなし”
垂直の言語行為・水平の言語行為
〈かたり〉と〈ふり〉
〈かたり〉の位相)
第3章 “かたり”の時間―いまはむかし(“むかし”と“いにしへ”
“かたり”の時制―H.ヴァインリヒに即して
浮き彫り付与とアオリスト
発話の方向
時制の移行・時制の転移)
第4章 “かたり”と“うた”と人称と(ヤーコブソンの二軸理論
言語の詩的機能と人称の転移
時間の詩的転移としての〈かたり〉)
第5章 “かたり”と世界―time immemorial(時間とのたわむれ・時間の可逆性
詩と科学そしてアオリスト)

著作者プロフィール

坂部恵

( さかべ・めぐみ )

1936年、神奈川県生まれ。1959年、東京大学文学部哲学科卒業。1965年、同大学大学院人文科学研究科博士課程満期退学。国学院大学専任講師、東京都立大学助教授、東京大学助教授、同教授、桜美林大学教授を経て、現在は東京大学名誉教授。1976年、『仮面の解釈学』(東京大学出版会)で山崎賞受賞。1986年、主に『和辻哲郎』(岩波書店)の業績により、サントリー学芸賞受賞。2002年、紫綬褒章受章。その他の著書に『鏡のなかの日本語』(筑摩書房)、『坂部恵集 全5巻』(岩波書店)、『カント』(講談社)など多数。

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