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シリーズ・全集

データを通じて世の中を見る

——「もしも」は調べられるのか?

「スマホをやめたら、成績が良くなるのか」をどう確かめる?

「難関校に行けば成績は伸びる?」のような、現実には比較できない「行った結果」と「行かなかった結果」を、世の中で起きる偶然の出来事を利用して考えてみよう。

定価

1,540

円
(10%税込)
ISBN

978-4-480-25166-4

Cコード

0333

整理番号

2026/11/09

判型

四六変判

ページ数

128

頁
解説

内容紹介

「スマホをやめたら、成績が良くなるのか」
をどう確かめる?

===
「難関校に行くと成績は伸びるの?」を考えたくても、同じ人が「難関校に行った結果」と「行かなかった結果」を比べることは現実にはできない。しかし世の中で起きた偶然の出来事を分析すると、その問いの答えに近づくことはできる。そんな「もしも」の調べ方を、紹介します。
===

「進学実績の良い高校に行けば、成績は伸びるのか」
「朝ごはんを食べると、成績は上がるのか」
「スマホを長く使うと、成績は下がるのか」
 どれも身近で、ちょっと考えれば答えが出そうな問いです。実際、データを見ても、進学校の生徒は他校の生徒より成績がよく、朝ごはんを食べる子はそうでない子より成績がよく、スマホを長く使う子は成績が低い。だから、進学校をめざし、朝ごはんを食べて、スマホは控えたほうがいい。そう結論づけたくなります。
 ところが、この3つは、ていねいに調べていくと、どれもそう単純にはいきません。データに差が見えても、ぱっと思い浮かぶとおりの原因があるとはかぎらないからです。当たり前に見える話ほど、それが本当かどうかを確かめる方法が要ります。
 データから一見して読み取れそうなことと、その背後で実際に起こっていることのあいだには、しばしばズレがあります。スマホを長く使う子の成績が低いといっても、スマホのせいで成績が下がっているとは限りません。勉強がうまくいかない子ほど、時間をもてあましてスマホに向かっているのかもしれない。あるいは、家庭の事情のような別の要因が、スマホの使い方と成績の両方に効いているのかもしれません。原因と結果が入れ替わっていることもあれば、見えない別の要因が裏で働いていることもあります。
 このズレを見抜くために、研究者たちはある発想を磨いてきました。その核にあるのが「もしも」という問いです。
 たとえば、進学校に通っている一人の高校生を思い浮かべてください。あなた自身でもかまいません。本当に知りたいのは、いまの高校に通ったときの成績と、もしも別の高校に通っていたらどうだったか、その2つを並べた姿です。同じ一人について、ある道を選んだ場合と選ばなかった場合の両方を見たい。けれど人生は一度きりで、進学先は一つしか選べません。実際に歩んだほうの結果は手元にあっても、もしものほうの結果は、ふつうは知りようがないのです。
 それでも、工夫しだいで、その起こらなかったほうの現実に、驚くほど近づける場面があります。本書は、その工夫をたどっていく本です。(「はじめに」より)

目次

第1章 見えていることを信じるな
1-1 進学実績の高い高校に行けば伸びるか
1-2 朝ごはんを食べると成績は上がるか
1-3 スマホを使うと成績は下がるか
1-4 相関関係と因果関係はどう違うのか
1-5 因果関係を間違えるとどうなるか
1-6 「もしも」という問いへ

第2章 「もしも」という問い
2-1 あの高校に行っていたら、どうなっていたか
2-2 現実は一度しかない
2-3 個人の「もしも」は知れなくても
2-4 「似たような人」を比べるという発想
2-5 似たグループの作り方

第3章 偶然を作り出す
3-1 くじ引きで決める
3-2 アメリカで行われた大規模実験:プロジェクトSTAR
3-3 「くじ引き」だからこそ意味のある比較になる
3-4 結果:少人数学級は本当に効くのか
3-5 RCTにもできないことがある
3-6 現実の偶然を使う

第4章 境界線で比べる
4-1 1点差の合格と不合格
4-2 エリート校に入れば本当に得なのか
4-3 大きな池の小さな魚
4-4 回帰不連続デザインの仕組み
4-5 RDDが使えない場合
4-6 日本でも「少人数学級」は効くのか

第5章 2つの差に注目する
5-1 制度が変わった学校と変わらなかった学校
5-2 「変化の差」に注目する
5-3 スマホ禁止で成績は上がったか
5-4 学校が建つと、人生は変わるか
5-5 差の差分析が成り立つための条件
5-6 2つの差がもたらす強み

第6章 実社会で見つかる自然実験
6-1 自然実験とは何か
6-2 ノーベル経済学賞を受賞した発想
6-3 常識を覆した最低賃金研究
6-4 日本でも「常識」を問い直す
6-5 研究の蓄積が世の中を変える

第7章 世の中は巨大な実験装置だ
7-1 因果と決めつける前に「比べ方」を問う
7-2 データを見るときの4つの問い
7-3 研究者は世の中をどう見ているか
7-4 世の中に「偶然の差」を探す
7-5 見え方が変わった日

著作者プロフィール

山口慎太郎

( やまぐち・しんたろう )

山口 慎太郎(やまぐち・しんたろう):東京大学大学院経済学研究科教授。専門は労働市場を分析する「労働経済学」と結婚・出産・子育てなどを経済学的手法で研究する「家族の経済学」。内閣府・男女共同参画会議をはじめ、中央省庁や自治体の各種会議で委員を務める。 『「家族の幸せ」の経済学』(光文社新書)で第41回サントリー学芸賞を受賞。『子育て支援の経済学』(日本評論社)は第64回 日経・経済図書文化賞を受賞。2021年に日本経済学会石川賞受賞。

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これまで10代のために選ばれる本はほとんどがフィクションでした。しかし「考え続ける力」を身につけるにはノンフィクションが最適です。10代のためのノンフィクションシリーズを作ろう!――そんな思いから生まれたのが「ちくまQブックス」です。

 

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