松下安武
( まつした・やすたけ )松下 安武(まつした・やすたけ):科学記者・編集者。大学では応用物理学を専攻。特に興味のある分野は物理学、宇宙天文など。天文宇宙検定1級、星空宇宙天文検定(星検)1級。著書に『並行宇宙は実在するか――この世界について知りうる限界を探る』(野村泰紀監修・みすず書房)がある。雑誌やWebメディアなどで科学記事の執筆、編集を行ってきた。
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何でも際限なく飲み込み表面では時間も止まる謎の多い天体、ブラックホールはどんな「穴」? そもそも何なのか?
宇宙誕生の謎にも繋がる研究を丁寧に解説。
ブラックホールは物質を飲み込んで大きくなり、光が脱出できないほどの重力を持っている謎の多い天体だ。近年、直接観測と撮影の成功によって研究が飛躍的に進展。ブラックホールの周囲の構造からわかる事、超大質量ブラックホールは太陽系サイズ!? 宇宙誕生と同時にできたものもある!? ブラックホールには近づく方法はあるのか? 宇宙誕生の謎にも繋がるブラックホールとはどんな天体なのかを探る一冊。
プロローグ ついにブラックホールが〝見えた?!
世界を熱狂させたブラックホールを巡る二つの大成果/映画の中でリアルに描かれたブラックホール/ブラックホールは〝底なしの穴?/多数見つかっていたブラックホールの「候補天体」/ブラックホールは宇宙の中では極めて小さい
コラム 「ブラックホール」という呼び名はいつ生まれた?
第1章 ブラックホールとは何なのか
1 ブラックホール=脱出不能の球状の空間
ブラックホールはどんな穴?/ブラックホールは物体を〝吸い込む?わけではない/ブラックホールの内部は事実上の〝別世界?/ブラックホールの中では、光は外向きに進めない/ブラックホールは物質を飲み込んで大きくなっていく/ブラックホールは重さが2倍になると、半径が2倍になる/ブラックホールはなぜブラック?
2 ブラックホール=曲がった空間
一般相対性理論によってブラックホールの存在が予言された/重い物体 のそばほど、空間が大きく曲がっている/空間の曲がりが重力を生み出す/自転しているブラックホール/ブラックホールの自転では、空間が〝引きずられる?
3 ブラックホールの近くでは時間の流れが遅くなる
ブラックホールの表面では時間が止まる!/速く動くほど、時間の流れが遅くなる
コラム 重力は長い間「謎の力」だった
第2章 ブラックホールとはどんな天体なのか
1 ブラックホールの種類
ブラックホールは重さで「三つのタイプ」に分けられる/「恒星質量ブ ラックホール」は重い恒星が死ぬときに形成される/軽い恒星は死後に白色矮星を残す/重い恒星は死後に中性子星かブラックホールを残す/太陽系サイズの「超大質量ブラックホール」/超大質量ブラックホールはどうやってできたのか?/謎多き「中間質量ブラックホール」/宇宙誕生時に生まれた「原始ブラックホール」も存在?
2 ブラックホールの周囲の構造
引き寄せられた物質は「降着円盤」を形づくる/降着円盤は摩擦で高温になって明るく輝く/極めて明るく輝く「活動銀河核」/ジェットの長さは数百万光年に達することもある
コラム 宇宙を支配する「ダークマター」の正体は原始ブラックホール?
第2章 ブラックホールはどうやって見つかったのか
1 はくちょう座X-1
宇宙からのX線観測で見つかった「はくちょう座X-1」/太陽の30倍の重さの恒星を振りまわしていた!
2 クェーサー
超遠方の謎の電波源/スペクトルは天体の〝指紋?/遠くの天体からやってきた光は波長が伸びる
3 いて座Aスター
我が銀河の中心にも超大質量ブラックホールが存在した
第4章 〝仮想?ブラックホール有人探査
1 どうやって行く?
ブラックホールはめちゃくちゃ遠い!/ワームホールを使えば、遠くのブラックホールにすぐに到着できる
2 安全にブラックホールを探査する方法
恒星質量ブラックホールに宇宙船が近づくと破壊される!
3 降着円盤をもつブラックホールはどう見える?
ブラックホールは〝そのままの姿?では見えない/降着円盤は左右で見え方が異なる
4 周囲に何もないブラックホールはどう見える?
周回軌道には「限界」がある/近づいていくとブラックホールは見かけ上、巨大化していく/ブラックホールを使って未来へのタイムトラベル を実現するには……/遠くの基地からブラックホールを見ると……/ブラックホールに入るとどうなる?
コラム 潮汐力が「氷の衛星」で生命を育んでいるかも?
コラム ワームホールを使えば、過去へのタイムトラベルも可能に?
第5章 ブラックホールが発した重力波をとらえよ!
1 重力波とその検出方法
重力波による空間の伸び縮みはごくごくわずか/幻に終わった「共振型重力波検出器」による〝初検出?/レーザー光を使った「レーザー干渉 計型検出器」が主流に
2 重力波の初検出
重力波が確かに存在する間接的な証拠/予言の約100年後、ついに重力波がとらえられた!/太陽三つ分の質量が重力波のエネルギーに転化した!
3 残された謎
LIGOがとらえたブラックホールは不自然に大きかった/「ファーストスター」が謎のブラックホールの起源?/謎のブラックホールは「原始ブラックホール」?
4 重力波観測網の充実
日本の重力波望遠鏡KAGRAの今後の活躍に期待
5 背景重力波の観測
超大質量ブラックホール連星由来の重力波がとらえられた?
第6章 ブラックホールの写真を撮影せよ!
1 撮影はなぜ難しいか
狙うは銀河中心の超大質量ブラックホール/大きな望遠鏡ほど〝視力?が向上する/地球サイズの仮想的な巨大望遠鏡を構築
2 ついにとらえられたブラックホール・シャドウ
イベント・ホライズン・テレスコープの視力は300万!/ブラックホール本体の大きさは光のリングの2・5分の1/いて座Aスターの撮影にも成功!/その後も成果を出し続けるイベント・ホライズン・テレスコープ
最終章 ブラックホールを研究することの意義
ブラックホールの研究は「宇宙誕生の謎」の解明にもつながる/空間は幻かもしれない
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