福澤諭吉
( ふくざわ・ゆきち )1835(天保5)年~1901(明治34)年。著述家、教育者。「時事新報」発行人。近代日本最大の啓蒙思想家。慶應義塾の創設に力を尽くした。著書に『学問のすすめ』『文明論之概略』『西洋事情』『福翁自伝』など多数がある。
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『学問のすすめ』『文明論之概略』などを著し、慶應義塾の創設にも力を尽くした近代日本最大の啓蒙思想家・福澤諭吉。その自伝のエッセンスが詰まった箇所を選出し現代語訳。激動の時代を痛快に、さわやかに生きた著者の破天荒なエピソードが収められた本書は、近代日本が生み出した最良の読み物のひとつであり、現代日本人が生きる上で最高のヒントを与えてくれるだろう。
はじめに
第一編 幼少時代
生まれと兄弟/父の儒教教育/父はいないが家風は正しい/門閥制度は親の敵/十四、五歳で初めて読書する/手先器用なり/無頓着と負けん気/兄弟問答/お札を踏み、神社の神体を捨てる/門閥の不平/怒らない、議論しない
第二編 長崎遊学
はじめてオランダ語を読む/活動の始まり/卑劣な計略の手紙/江戸を目指す/贋手紙を作る/船旅の危険/歩いて大阪へ/大阪着/長崎遊学中のあれこれ/師弟アベコベ
第三編 大阪修業
緒方塾に入門/兄弟共に病気/緒方先生の親切/兄が死んで家を継ぐ/母の思いきり/家財を売って借金を片付ける/原書を盗み写す/「医者の家に砲術修業に行く」という願書/母の病気/緒方先生に相談/学生生活と酒の悪弊/血に交って赤くならず/学生を懲らしめる/塾長になる
第四編 緒方の塾風
酒の飲み方/塾生裸体/不潔に頓着せず/熊の解剖/喧嘩の真似/スリ扱いされ大いに怖い思いをする/遊女の贋手紙を書く/騙して河豚を食べさせる/小皿を盗む、投げつける/禁酒して煙草の習慣を身に付ける/火事場で活躍/塾生の勉強/勉強法/自分自力の研究/写本で稼ぐ/化学実験/三日で原書を写す/大阪の学生、江戸の学生/漢学者を敵視する/目的なしの勉強
第五編 大阪から江戸へ
家老との関係/学びに来たのではない、教えに来た/英語を勉強する/当時の英学事情
第六編 初めてアメリカに渡る
咸臨丸/出発/ドル散乱/日本人の誇り/歓迎の祝砲/馬車やカーペットに驚く/女尊男卑の風俗に驚く/科学はわかるが社会がわからない/英辞書を初輸入/アメリカ娘と写真を撮る/日本に着く/幕府に雇われる
第七編 ヨーロッパ各国に行く
母に百両を送る/ヨーロッパ巡遊の旅程/旅行中の失策また失策/血を恐れる/書物で調べられるもの、調べられないもの
第八編 明治維新のころ
傲慢な上士族を軽蔑する/幕府の空威張りと頑固さ/新政府には仕えない/日本ではじめて授業料をとる/慶応義塾の役割/教育の方針は数理と独立
第九編 暗殺の心配と様々な試み
暗殺の恐ろしさ/暗殺されかかった話/疑心暗鬼、互いに走る/剣を捨てて剣をふるう/維新当初の卑屈な人心/あえて新しいことをやる
第十編 金銭について
借金はけっしてしない/卑劣な金儲け/金を預けるのも面倒/愚痴は言わない/按摩を学ぶ
第十一編 品行と家庭、そして老後
大親友はいない/女性とも平気で接する/子どもは差別なく可愛がる/教育は体育が先/なぜ仕官しないか/時事新報/極端な事態を想像する/身体の養生/ようやく節酒/身体運動/人生愉快なことばかり
福澤諭吉略年譜
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