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ちくま新書

萩本欽一 昭和をつくった男

「欽ちゃん」という革命

コント55号、欽ドン!、欽どこ、スタ誕、全日本仮装大賞、24時間テレビ……全部欽ちゃんが作った! 誰もがテレビに夢中だった「あの時代」を作った男の肖像。

定価

968

(10%税込)
ISBN

978-4-480-07655-7

Cコード

0276

整理番号

1827

2024/11/06

判型

新書判

ページ数

240

解説

内容紹介

コント55号のブレイク、欽ドン!、欽どこ、ぴったしカン・カン、スター誕生!、仮装大賞、24時間テレビなど高視聴率番組の連発、そしてイモ欽トリオやわらべ、茨城ゴールデンゴールズのプロデュース――。素人をテレビの主役にし、笑いの地位を上げ、バラエティの常識を次々打ち破った "視聴率100%男" 欽ちゃんの革命。「ダメなときほど運はたまる」「勝つか、逃げるか」といったユニークな人生哲学のもと、誰もがテレビに夢中だった「あの時代」をつくったテレビスターの全軌跡。

目次

はじめに
テレビの発明家・萩本欽一/萩本欽一がテレビに起こした革命/いまなぜ、萩本欽一なのか/本書の構成

第一章 コメディアンになる――気弱な少年の選択
1 父親の不在、母親の?――幼少期の萩本家
三男なのに「欽一」となった訳/東京・下町生まれの焼け跡世代/波乱万丈の人生だった実業家の父親・団治/教育熱心な母親・トミのついた?/欽一少年、「よいしょ」を覚える
2 勤労少年・萩本欽一の人生観
中学で覚えた「ウケる快感」/「お金持ちになりたい!」という決心/アルバイトの日々だった高校時代に学んだこと
3 なぜ、落語家でもなく漫才師でもなくコメディアンを目指したか
チャップリンから得た救い/浅草・東洋劇場でコメディアンに/テレビ時代が始まるなかで

第二章 枠からはみ出す――コント55号が大成功した理由
1 辞めることも考えた浅草新人時代――萩本欽一を救ったもの
たった三カ月での"引退危機"/萩本家「解散」とその後/ひとりの女性との運命的出会い/二二歳で劇団を立ち上げる/テレビ新人時代の一九回NG事件
2 コントの常識を変えたコント55号――「フリ」と「コナシ」の関係性
最初は最悪だった坂上二郎の印象/熱海の日々、そしてコント55号の結成/コント「机」/コント55号の大ブレーク――常田久仁子との出会い/枠からはみ出した欽ちゃん――コント55号はどこが革新的だったのか
3 「お笑いの地位を上げたい」――職業としてのコメディアン
"欽ちゃん人気"の新しさ――お笑いの地位向上の原点に/先輩・東八郎の教え/日本テレビ・井原高忠とのあいだに生まれた信頼関係/?低俗番組?批判のなかでの苦悩/コント55号人気の陰り、アメリカ行きの構想/新たな挑戦へ

第三章 「欽ちゃん」の革命――「視聴率一〇〇%男」という生きかた
1 テレビ司会者・萩本欽一の軌跡
最初は断った司会の仕事/初司会の『スター誕生!』で生まれた「ばんざーい、なしよ」/「素人の瞬発力的な笑いにはかなわない」/『24時間テレビ』の画期的成功/「欽ちゃん」の笑いが有していた包容力/克服したあがり症――長野オリンピック閉会式で
2 素人を主役に――「欽ちゃん」が発見した「テレビの笑い」
「パジャマ党」誕生/「石の上にも五年」/『欽ちゃんのドンとやってみよう!』は、テレビでやるラジオだった/素人が主役になったバラエティ『欽ドン!』/欽ちゃんに笑いの才能を見出された歌手、前川清と中原理恵/『欽ドン!』対『全員集合』――視聴率のための戦略
3 「視聴率一〇〇%男」萩本欽一のテレビ論
「ドラマ」のかたちをとったバラエティ?――『欽ちゃんのどこまでやるの!』/「欽ちゃん番組」と素人路線の確立――『欽どこ』『良い子・悪い子・普通の子』『仮装大賞』/「視聴率一〇〇%男」の誕生/テレビにジャンルはない――「欽ちゃん」がテレビに起こした革命/久米宏が気づいたすごさ

第四章 プロデューサーの眼――タレント、アイドル、野球チーム
1 「欽ちゃんファミリー」の誕生
「大将」というもうひとつの呼び名/車だん吉と斉藤清六――師弟関係のなかで/「クロ子とグレ子」、小堺一機と関根勤の「コサキン」コンビ登場/「欽ちゃんファミリー」の女性たち/柳葉敏郎、勝俣州和、Take2ら若手男性タレントも/「聞いたらおしまい」の意味/木村拓哉も”合格”だった
2 アイドルプロデューサーとしての成功
つんく♂や秋元康よりも早くアイドルプロデュースで成功/イモ欽トリオ「ハイスクールララバイ」の記録的ヒット/相乗効果をもたらす"番組優先主義"/世の中を惹きつけた「新童謡」――わらべ「めだかの兄妹」/萩本欽一はテレビにとっての歌の力を知っていた/「やさしい笑い」の教え
3 野球をエンターテインメントに――茨城ゴールデンゴールズの挑戦
「欽督」になった萩本欽一/なぜ野球だったのか/選手にコメディアン流の「ため」と「間」を伝授/選手の「運」を見極める/「昭和」をプロデュースした萩本欽一

第五章 焼け跡世代、平成、令和を生きる――七三歳の大学生からユーチューバーへ
1 仏教学部を選んだわけ――笑いと仏教の実は深い関係
六〇代は「無謀なことをやるオッサン」になる/『24時間テレビ』マラソンへの挑戦/七三歳の大学受験/「同級生」になった若者たちとの日々/「粋な言葉」の大切さ/仏教と笑い、そして「いつも民衆と一緒にいる」ということ/「人生は勝つか逃げるか」
2 八〇歳でユーチューバーに――焼け跡世代、インターネットと出会う
浅草軽演劇をテレビで再興する/『欽ちゃん!30%番組をもう一度作りましょう(仮)』/八〇歳のユーチューバー/ユーチューバーになって気づいたこと/「焼け跡世代」がいち早くネットになじめた訳

終章 萩本欽一の時代――遠回りの美学
「昭和」とはいつのことか/コメディアンという仕事と戦後的価値観/萩本欽一は笑いを民主化したパイオニア/「ダメなときほど運がたまっている」/遠回りの美学/母校での出会い/

あとがき
参考資料
萩本欽一年譜

著作者プロフィール

太田省一

( おおた・しょういち )

太田 省一(おおた・しょういち):1960年富山県生まれ。社会学者。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得満期退学。テレビ、お笑い、アイドル、歌謡曲などメディア、ポピュラー文化の諸分野をテーマにしながら、戦後日本社会とメディアとの関係に新たな光を当てるべく執筆活動を行っている。著書に『すべてはタモリ、たけし、さんまから始まった』(ちくま新書)、『紅白歌合戦と日本人』(筑摩選書)、『「笑っていいとも!」とその時代』(集英社新書)、『社会は笑う・増補版』『中居正広という生き方』『木村拓哉という生き方』(いずれも青弓社)、『水谷豊論』(青土社)ほか多数。

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