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ちくま新書

国立大学教授のお仕事

——とある部局長のホンネ

採用、出世、お金、働き方、人間関係、進まないDX化……ぜんぶ見せます!

採用、出世、お金、働き方、人間関係、査読のあんばいに新人育成、ぜんぶ見せます! 定年間近のとある部局長が見つめた、おかしくも哀しい国立大学の30年。

定価

990

(10%税込)
ISBN

978-4-480-07679-3

Cコード

0237

整理番号

0

2025/04/08

判型

新書判

ページ数

256

解説

内容紹介

採用、出世、お金、働き方、人間関係、進まないDX化……
ぜんぶ見せます!

時は1993年。若き政治学者・木村幹(27歳)は、愛媛大学法文学部に助手として採用された。「雇用の安定した国立大学に就職し、研究に集中したい」という夢が早々に叶い、これで韓国の政治文化研究に打ち込めると思いきや、国立大学の置かれた状況は刻一刻と悪化していく。
神戸大学に移るも、2004年の独立行政法人化により研究費も人員も削減され、予算獲得のための仕事が日々の研究を圧迫する。昇進しても、小さいパイの取り合いで疲弊するばかりだ。
還暦間近のとある部局長が見つめた、おかしくも哀しい国立大学の30年。

目次

はじめに――不思議な仕事

序章 国立大学三〇年
私的三〇年史/はじめての赴任/教養部解体と学部改組/異動の掟/国立大学間の異動/黎明期の独立研究科

第一章 大学教授はどう採用される
大学教授って誰のこと/公募と引き抜き/審査はこう行われる/引き抜きは減っている/任期付きポストと任期のないポスト/教授になるには/仕事はどんどん増えていく/教員人事はいつもギリギリ
コラム 大学教員とお金

第二章 組織としての大学のガバナンス
本部と部局/教員組織のトップは評議会/教員組織と事務組織/教授会は各部局の意思決定機関/学域に所属、部局に配置/執行部会議と各種委員会/部局長(研究科長・学部長)はどう選ばれる
コラム 大学教員と人間関係

第三章 大学教員の働き方
裁量労働制/学年暦と授業の厳格化/教育業務/学内行政事務/研究業務/対外活動/外部資金獲得/ワークライフバランス/絶えないハラスメント問題
コラム 大学教員とご飯

第四章 学会でのお仕事
学会とは何か/なぜ学会に入るのか/学会は営業とリクルートの場/学会の会員になる/会員を辞める/学会を運営する/学会長はこうして選ばれる/年次大会や研究会の開催/学会誌編集/査読のあんばい/査読とハラスメント
コラム 大学教員と専門分野

第五章 大学教員を育てる
大学教員の退職年齢/学部と大学院はこう違う/学生を紹介するのも仕事/研究者の卵はここでつまずく/ポスドクを助ける
コラム 大学教員と編集者

第六章 営業する大学教員
部局の運営経費は三〇年で三〇〇〇万円減/個人研究費は年間五〇万円から一〇万円に/科研費は大学のお金/外部資金への依存が招く問題/少子化だけではない/二種類の営業/大学を売り込む/国内での営業/研究者としての営業/研究費を得るための間接的な営業/本を出すための営業/研究プロジェクトに参加するために顔を売る
コラム 大学教員と趣味

第七章 大学は海外に活路を見出す
留学のセットアップ/変わるアジアの大学との関係/奨学金を獲得する/英語コースの設置/留学生は多すぎるのか/リカレント教育という道
コラム 大学教員とDX

むすびにかえて

著作者プロフィール

木村幹

( きむら・かん )

1966年生まれ、政治学者。神戸大学大学院国際協力研究科教授。専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。2001年に『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』で第13回アジア・太平洋賞特別賞、2003年に『韓国における「権威主義的」体制の成立』で第25回サントリー学芸賞を受賞。他の著書に『韓国現代史』『韓国愛憎』(中公新書)など。オリックスのファンとして執筆・メディア出演もあり。

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