「おいしさ」は簡単そうで、じつはとてもむずかしい。
想像力全開の料理の世界へようこそ!
===
頭と手と五感をフル活動させる「料理」は、じつはとても刺激的で創造的。だからこそ、おいしい一皿には、ホッとする満足感と幸せが詰まっているのです。この本では、さまざまな料理の作り方を通して、ちょっとした素材の扱い方やコツを紹介。材料をそろえ、料理してみると、世の中が今までと違って見えてきます。
===
おいしいものを作るためには、料理のテクニックを磨くのではなく、まずその食材がもともと持っている風味をできるだけ損なわないように、それぞれの食材に寄り添った料理を考えることが大切だと思っています。
太陽をたっぷり浴びて育った味の濃い野菜なら、あれこれ手をかけず、オリーブオイルと塩だけでいただくのが、いちばんおいしい方法でしょう。とはいうものの、いつもそういう野菜が手に入るとは限りません。冬の寒さにさらされて育った野菜はごわごわとかたくて、生で食べるには向きません。けれども冬の野菜には冬の野菜ならではのおいしさが詰まっていますから、それを引き出そうと思ったら、時間をかけてゆでたり、蒸したりして料理します。
新鮮な魚なら、「刺身」や「塩焼き」が頭に浮かびますが、その日に食べたいものが魚の煮つけならば、鮮度によって味つけを変化させます。新鮮でしたら薄味でサッと煮て、その魚の持ち味が生きるように。少し鮮度が落ちているという場合には、しょうゆ、酒、甘み(みりんか砂糖)をいつもより多めにしてこっくりと。
料理の本には書かれていませんが、素材をよく知り、状況を見極めたうえで、臨機応変に対応していくことこそ、おいしい料理を作るコツと言えるかもしれません。
そのためには、素材がどのようになっているのかを、よくよく見ることです。色はどんなふうに変わるか、表面の様子はどうか、鍋のなかはどうなっているか……。
時には、料理されている材料の気持ちになることも大切。今、素材を動かした方がいいのか、そのままにしておいた方がいいのか。
そういうことは、とても大切なことですが、料理本にはあまり書いてありません。
そして、もしもうまくできなかったときは、どうしてそうなったのか、次はどうすればいいのかを考えましょう。次回はそこに注意すればいいのです。何度か作っているうちに、必ず、おいしくできるようになります。繰り返しているうちに我流になってもOK。料理本から離れ、自分で想像しながら料理することも大切です。
この本では、料理をするときの小さなコツを、レシピを通してお伝えしたいと思います。(「はじめに」より)