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ちくまプリマー新書

はずれ者が進化をつくる

——生き物をめぐる個性の秘密

「平均の人間」なんて存在しない。個性の数は無限大。生き物各々が異なっているのには理由がある。唯一無二の生命をつなぐための生存戦略がここにある。

2022Openbook好書獎「青少年図書」部門(台湾版)

定価

924

(10%税込)
ISBN

978-4-480-68379-3

Cコード

0245

整理番号

353

2020/06/08

判型

新書判

ページ数

192

解説

内容紹介

「平均的な生き物」なんて存在しない。個性の数は無限大。唯一無二の生命をつなぐために生き物たちがとってきたオンリーワンの生存戦略。

目次

1時間目 「個性」とは何か?
2時間目 「ふつう」とは何か?
3時間目 「区別」とは何か?
4時間目 「多様性」とは何か?
5時間目 「らしさ」とは何か?
6時間目 「勝つ」とは何か?
7時間目 「強さ」とは何か?
8時間目 「大切なもの」は何か?
9時間目 「生きる」とは何か?

著作者プロフィール

稲垣栄洋

( いながき・ひでひろ )

稲垣 栄洋(いながき・ひでひろ):1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院農学研究科修了。農学博士。専攻は雑草生態学。農林水産省、静岡県農林技術研究所等を経て、静岡大学大学院教授。農業研究に携わるかたわら、雑草や昆虫など身近な生き物に関する著述や講演を行っている。『植物はなぜ動かないのか』『雑草はなぜそこに生えているのか』『はずれものが進化を作る』(以上ちくまプリマー新書)『身近な雑草の愉快な生きかた』『身近な野菜のなるほど観察記』『身近な虫たちの華麗な生きかた』(以上ちくま文庫)他著書多数。

スペシャルコンテンツ

進化に成功したのは、「強い」生き物ではなくオンリー1になれる場所をみつけた誰よりも「弱い」生き物たちでした。

そんな彼らが”人間らしく”生きるための 知恵を私たちに教えてくれました。


飛べなかったから子孫をたくさん産めたキウィ

じつは、キウィの祖先は飛ぶことのできる鳥だったと考えられています。ところが、その中に飛ぶことの苦手な個体が生まれました。鳥なのに飛べないなんて、本当のはずれ者です。ただ、ニュージーランドには、キウィを襲う猛獣がいなかったので、飛んで逃げる必要がありません。飛ぶのが苦手な鳥は、飛ぶことが少ないので、エネルギーを使いません。その分、エサも少なくてすむかもしれませんし、節約したエネルギーでたくさん卵を産むことができるかもしれません。こうして飛ぶのが苦手な「はずれ者」が、飛ぶのが苦手な子孫をたくさん産み、飛べない鳥に進化していったと考えられるのです。(本書p.64より)

元々あった足を捨てたから土の中で生き残れたミミズ

ミミズは、肉食でも草食でもありません。土の中で土を食べて生きています。土の中で土を食べる生き物の中でミミズは最強です。じつは、手も足もないミミズは、ずいぶんと単純な生き物に思えるかもしれませんが、ミミズの祖先は、もともとは頭や移動のための足のような器官をもつ生物だったと考えられています。しかし、土の中で土を食べて生きるというナンバー1になるために、足を捨ててしまったのです。(本書p.105より)

踏まれても立ち上がらないから踏まれる前より成長できる雑草

踏まれる場所で生きていく上で、一番大切なことは、立ち上がることではありません。踏まれたら立ち上がらなければならないというのは、人間の勝手な思い込みなのです。もちろん、踏まれっぱなしという訳ではありません。踏まれて、上に伸びることができなくても、雑草は決してあきらめることはありません。横に伸びたり、茎を短くしたり、地面の下の根を伸ばしたり、なんとかして花を咲かせようとします。もはや、やみくもに立ち上がることなどどうでも良いかのようです。雑草は花を咲かせて、種を残すという大切なことを忘れはしません。大切なことをあきらめることもありません。だからこそ、どんなに踏まれても、必ず花を咲かせて、種を残すのです。「踏まれても踏まれても大切なことを見失わない」これこそが、本当の雑草魂なのです。(本書p.163より)

 

この本への感想

稲垣さんは、中学受験の国語の問題で3年連続最多だとのこと。小6の父として興味を持ち読んでみました。論旨が明快で読みやすく、筆者の人柄、植物学者としての姿勢が伝わってくるようでした。何かと比べたがる親や世の中に、きっと生きづらさを感じている子供たちへのエールともなる、詩のような論説文でした。いや、仕事に迷い、経営に迷い、子育てに迷う大人が読んでも元気がもらえました。

草食系

さん
update: 2021/06/28

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