進化に成功したのは、「強い」生き物ではなくオンリー1になれる場所をみつけた誰よりも「弱い」生き物たちでした。
そんな彼らが”人間らしく”生きるための 知恵を私たちに教えてくれました。
飛べなかったから子孫をたくさん産めたキウィ
じつは、キウィの祖先は飛ぶことのできる鳥だったと考えられています。ところが、その中に飛ぶことの苦手な個体が生まれました。鳥なのに飛べないなんて、本当のはずれ者です。ただ、ニュージーランドには、キウィを襲う猛獣がいなかったので、飛んで逃げる必要がありません。飛ぶのが苦手な鳥は、飛ぶことが少ないので、エネルギーを使いません。その分、エサも少なくてすむかもしれませんし、節約したエネルギーでたくさん卵を産むことができるかもしれません。こうして飛ぶのが苦手な「はずれ者」が、飛ぶのが苦手な子孫をたくさん産み、飛べない鳥に進化していったと考えられるのです。(本書p.64より)
元々あった足を捨てたから土の中で生き残れたミミズ
ミミズは、肉食でも草食でもありません。土の中で土を食べて生きています。土の中で土を食べる生き物の中でミミズは最強です。じつは、手も足もないミミズは、ずいぶんと単純な生き物に思えるかもしれませんが、ミミズの祖先は、もともとは頭や移動のための足のような器官をもつ生物だったと考えられています。しかし、土の中で土を食べて生きるというナンバー1になるために、足を捨ててしまったのです。(本書p.105より)
踏まれても立ち上がらないから踏まれる前より成長できる雑草
踏まれる場所で生きていく上で、一番大切なことは、立ち上がることではありません。踏まれたら立ち上がらなければならないというのは、人間の勝手な思い込みなのです。もちろん、踏まれっぱなしという訳ではありません。踏まれて、上に伸びることができなくても、雑草は決してあきらめることはありません。横に伸びたり、茎を短くしたり、地面の下の根を伸ばしたり、なんとかして花を咲かせようとします。もはや、やみくもに立ち上がることなどどうでも良いかのようです。雑草は花を咲かせて、種を残すという大切なことを忘れはしません。大切なことをあきらめることもありません。だからこそ、どんなに踏まれても、必ず花を咲かせて、種を残すのです。「踏まれても踏まれても大切なことを見失わない」これこそが、本当の雑草魂なのです。(本書p.163より)