佐藤亜紀
( さとう・あき )1962年新潟県生まれ。91年「バルタザールの遍歴」で第3回日本ファンタジーノベル大賞を受賞し、デビュー。2003年「天使」で芸術選奨文部科学大臣新人賞、08年「ミノタウロス」で第29回吉川英治文学新人賞。その他の著書に「戦争の法」「鏡の影」「1809」「雲雀」「醜聞の作法」「金の仔牛」などがある。
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「固有の顔」をめぐる考察が、スリリングな結末へと導かれる。『小説のストラテジー』と対を成す、読む/書くための指南書。
1 様式の問題―表現様式は内容により変化する
2 日常は内戦と虐殺に接続される―ハリウッド映画における暴力表現の変化と9・11の関係
3 群衆の中の小さな顔―『宇宙戦争』における「人間の顔の喪失」と「格差」
4 顔はいかに表現されてきたか―固有の顔か、標準化された無数の顔のひとつか
5 暴かれた世界―ザンダー『二十世紀の人間』と全体主義における人間の顔
6 五月三日―ゴヤと歴史の傷
7 見ることと語ること―薄皮の下にあるものが侵入してくる
8 忠実な羊飼い―「凡庸な悪」と英語の問題
9 「未来」は存在しない―我々にはもう「顔」はない
10 「3・11以後の表現」は可能か―結びに代えて
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