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ちくま文庫

新版 山口組概論

——いまだ壊滅せず

やくざ社会が映しだすこの国の闇とひずみ

山口組はなぜ百年続くのか。強引な捜査や逮捕で徹底的に排除されながらいまだ壊滅しない組織。その盛衰の歴史から、この国の闇と矛盾を照射する。

定価

1,100

円
(10%税込)
ISBN

978-4-480-44121-8

Cコード

0136

整理番号
い

-45-11

2026/11/10

判型

文庫判

ページ数

320

頁
解説

内容紹介

闇市での警察機能の代行、高度成長期の全国制覇、バブルと経済やくざ、金融緩和とヤクザマネー。山口組の伸長は常に時代と連動してきた。そしてそこには、搾取、暴力、差別、社会的排除など、この国の矛盾とひずみが映し出されている。大正初期の神戸港の浮動労働者たちの結盟が、いかにして近代やくざとなり、そして現代に至ったのか。
解説 山田英生

目次

第一章 山口組誕生と近代やくざ
近代やくざの発生/神戸の顔役と初代山口春吉/親分衆の天下だった興行界/登二代目の襲名と事業拡大/不況下での興行界への進出/「鶴酒藤兄弟会」との盟約/戦時中の山口組――軍部とやくざ/「浅草事件」と山口登の死/民衆運動とやくざ/博徒ではなく侠客であれ/「正業に縄張りなし」の哲学

第二章 三代目と全国制覇
1 三代目襲名とその哲学 
田岡一雄の渡世入り/焼け跡からの組再興/「田岡イズム」の出発点/株式会社山口組の設立
2 神戸芸能社とその時代 
興行界への本格進出/鶴田浩二襲撃事件/芸能界を震撼させた「十大歌手」投票/「神戸芸能社」設立へ/戦後興行の黄金時代
3 神戸港の下請業者・労働者たちと 
「港を制するものは日本を制す」/朝鮮特需と神戸港への本格進出/労使協調による神戸港の掌握/スト破りとやくざ/大手資本への挑戦状
4 〝カリスマ〟の源泉――卓抜した組織論 
軍団と事業の分離/やくざの〝フランチャイズ方式〟/抗争と大量動員方式/大阪進出を促進した「明友会事件」/「鉄の団結」の完成/ピラミッド型組織の効用/山口組帝国の完成
5 広域化と「頂上作戦」 
柳川組の場合/児玉誉士夫と田中清玄/東京進出の足がかり/麻薬追放と横浜進出/田中清玄襲撃の深層/反山口組連合「関東会」結成/「頂上作戦」発動の政治的背景/財界の脅威となった〝やくざコングロマリット〟/山口組壊滅の包囲網/「山口組は絶対に解散しない」/三代目の信じる組織哲学/〝やくざになるしかない〟階層の存在/「頂上作戦」後の組再建
6 時代の変貌と新たな戦略 
資金獲得活動の変貌/右翼・総会屋、企業事務所で東京進出/数次にわたる「大阪戦争」/平和共存路線/「力」の源泉――信賞必罰主義/カリスマの死/その素顔

第三章 カリスマなきあとの分裂抗争
唯一の後継者が急死/警察当局から打たれた楔/跡目をめぐる水面下の攻防/竹中四代目と一和会/やくざらしいやくざ――竹中正久/竹中が示した親分の条件/田岡三代目の〝遺志〟/抗争をバネとする特異さ/喧伝される、やくざ海外進出

第四章 バブルと暴対法の時代
渡辺五代目体制の発足/渡辺芳則組長の渡世歴/竹中組脱退の教訓/和平と武断の使い分け/「八王子抗争」と東北再編/てきやの歴史/「数こそ力なり」の論理/バブル経済とやくざ/「宅見事件」の衝撃/「暴対法」成立とその本質/「暴対法訴訟」大弁護団を結成/阪神大震災とボランティア/マフィア化と治安の悪化/「政治運動標榜ゴロ」のモデルケース/「共謀共同正犯」と「使用者責任」

第五章 六代目体制の衝撃
〝政権交代〟の深層/電光石火の襲名劇/山健組の肥大化/司六代目の〝即断即応主義〟/懸案だった中野会問題/電撃的な國粹会の加入劇/國粹会加入までの前史/國粹会内紛の調停役/衝撃的だった「新・東京戦争」/山口組排除の包囲網/山口組解体をめざす「改正暴対法」/世代交代と少数精鋭化/原点回帰の意味するもの/見直される三代目の遺産

第六章 山口組はどこへいくのか
四万人の頂点・司忍六代目の経歴/髙山清司若頭体制/激変するやくざ地図/最大組織が促進する「平和共存」/「山口組幕藩体制」の構築/「改正暴対法」の衝撃/「綱紀粛正」の背景/司法・警察との「最終戦争」/ヤクザマネー/やくざと格差社会/やくざ社会の変質/〝見えない組織〟/やくざ社会はどこへいくのか

旧版あとがき

その後の山口組と社会の変容 解説にかえて――山田英生

著作者プロフィール

猪野健治

( いの・けんじ )

猪野健治(いの・けんじ):1933年滋賀県生まれ。新聞、雑誌の記者、編集者などを経て、フリーのジャーナリストとして幅広く活躍する。とくに右翼、やくざ、総会屋などをテーマにした分野では第一人者とされる。主な著書に『やくざと日本人』『日本の右翼』『テキヤと社会主義』『興行界の顔役』『ゼンガクレン』など、編著書に『電通公害論(正続)』『東京闇市興亡史』などがある。2026年逝去。

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