戸部良一
( とべ・りょういち )戸部 良一(とべ・りょういち):1948年、宮城県生まれ。専門は日本政治外交史。国際日本文化研究センター名誉教授、防衛大学校名誉教授。京都大学法学部卒業後、同大学大学院博士課程単位取得退学。博士(法学)。著書に、『逆説の軍隊』、『日本陸軍と中国』、『外務省革新派』、『昭和の指導者』、『日中和平工作』など、共著に『失敗の本質』、『国家経営の本質』、『決定版 日中戦争』などがある。
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支那事変(日中戦争)の特徴は、戦争遂行と和平への努力が、ほぼ全期間を通じ並行してなされたことにある。この和平工作の舞台には外交官のみならず、中国通の経済人やジャーナリストなど様々な人物が登場した。本書はまず、極秘裡になされたがゆえに捉えづらい和平工作の基礎事実を確定し、これに従事したピース・フィーラーたちの実像を描き出す。宇垣工作、汪兆銘工作をはじめとする数多の試みは、なぜ一つとして成功しなかったか。日本側の事変処理政策や政府声明の決定過程を詳しく追跡することでその原因を解き明かした。日中関係、戦時外交を考えるうえで欠かせない名著。
序章 和平工作研究の意味
第一章 政略出兵から全面戦争へ
第二章 和平の模索
第三章 「対手トセス」声明再考
第四章 事変処理構想の変遷
第五章 和平工作の交錯――宇垣・孔祥熙工作を中心として
第六章 「日支新関係調整方針」の策定と汪工作
終章 和平工作の視点から見た支那事変
あとがき
文庫版あとがき
注
参考文献
解説 もう一つの日中戦争――「和平」と「謀略」の交錯(波多野澄雄)
人名索引