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ちくま学芸文庫

昭和十年代の陸軍と政治

——軍部大臣現役武官制の虚像と実像

昭和史の定説を覆す画期的研究

陸相ポストをめぐる陸軍と首相及び天皇の対立事例を精査し、日本が戦争に至った原因は軍部大臣現役武官制にあるとする。昭和史の常識を覆した名著。

定価

1,760

(10%税込)
ISBN

978-4-480-51392-2

Cコード

0121

整理番号

-8-2

2026/07/09

判型

文庫判

ページ数

384

解説

内容紹介

1936年に復活した軍部大臣現役武官制は現役軍人のみが陸軍・海軍の大臣に就任できるとする制度である。この制度の復活により軍部が内閣の生殺与奪の権を握り、その後の政治を支配して日本は戦争への道を歩んだ――。このような歴史認識が定説となってきたが、本当に正しいのか。広田内閣から米内内閣に至る、陸相のポストをめぐって陸軍と首相および天皇が対立した全事例を精査。同制度は政治を左右した決定的要因ではなく、政治支配の実相を描くには政治勢力間の力学の総合的分析が不可欠であることを明証した。昭和史の定説を覆した画期的名著。

目次

はしがき

第一章 広田内閣組閣における陸軍の政治介入
近衛文麿の組閣辞退/広田による組閣の開始/陸軍の介入のはじまり/「結局は流産に終わるか」/陸軍のさらなる干渉/武藤章の立場/非現役武官制期の組閣支配の成功

第二章 軍部大臣現役武官制の復活
現役武官制復活の発表/陸相への人事一元化としての現役武官制/皇道派復活阻止のための現役武官制/小磯内閣組閣時の広田の「密話」/広田内閣における「三長官会議」の廃止/三長官会議の廃止の意味/現役制内閣支配説の破綻

第三章 宇垣内閣の流産――「軍の総意」による「反対」
宇垣の上京と陸軍/中島憲兵司令官の干渉/組閣の開始/「所謂大権干犯に就て」/陸相三候補者の辞退/小磯朝鮮軍司令官への依頼/湯浅内大臣の拒絶/組閣本部の怒りと大命拝辞/宇垣組閣反対の理由/宇垣内閣流産と現役武官制

第四章 林内閣の組閣――梅津次官と石原派中堅幕僚の抗争
林銑十郎と石原派/複雑な構成の組閣本部/組閣本部と寺内陸相の対立/林と十河の対立/林と石原派の隔離/石原派の追放/林という人物/梅津美治郎の立場/林内閣組閣における中堅幕僚支配の挫折

第五章 第一次近衛内閣における首相指名制陸相の実現――杉山陸相から板垣陸相へ
近衛の陸相交代願望/杉山辞職工作/板垣陸相就任工作/板垣陸相決定へ/陸軍最後の抵抗/東条次官就任の動因/近衛の弁明説流布と陸相交代の意味

第六章 阿部内閣における天皇指名制陸相の登場――畑陸相就任の衝撃
阿部信行に決まるまで/多田陸相の決定/陸軍中央と関東軍の対立/東条派の動き/天皇の陸相指名/天皇が「陸軍と衝突するの虞」/天皇の陸相指名による陸軍三長官会議の圧伏

第七章 米内内閣倒壊――畑陸相辞職と近衛文麿の役割
米内内閣倒壊をめぐる旧来の見方/米内内閣の成立と近衛/近衛の活動開始/近衛・有馬・木戸の「申合せ」/木戸の内大臣就任/近衛新党と「バスに乗り遅れるな」/米内の反撃としての原枢密院議長/ドイツのヨーロッパ制覇と日本の世論/有田放送問題/武藤軍務局長の見解/近衛の新党放棄/参謀総長から陸相への「要望書」/陸相の要望と米内の了解/武藤と「倒閣工作」/米内首相の「硬化」/米内首相の陸相への辞表提出要求/陸相からの「覚書」と東京裁判の米内/米内内閣倒壊の本質

結論

あとがき

ちくま学芸文庫版へのあとがき

人名索引

著作者プロフィール

筒井清忠

( つつい・きよただ )

筒井 清忠(つつい・きよただ):1948年生まれ。帝京大学学術顧問。東京財団名誉フェロー。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。文学博士。専門は日本近現代史、歴史社会学。著書に『昭和戦前期の政党政治』『天皇・コロナ・ポピュリズム』(以上、ちくま新書)、『昭和期の陸軍』(筑摩選書)、編著に『昭和史講義』『昭和史講義2』『昭和史講義3』『昭和史講義【軍人篇】』『昭和史講義【戦前文化人篇】』『昭和史講義【戦後篇】(上・下)』『昭和史講義【戦後文化篇】(上・下)』『明治史講義【人物篇】』『大正史講義』『大正史講義【文化篇】』(以上、ちくま新書)など。

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