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ちくま新書

日本ではなぜ子育てがこんなにつらいのか

——カネと自己責任の資本論

お金がなければダメですか?

少子化が止まらない。何をするにもお金がかかる。なぜ子育ては「ぜいたく品」となってしまったのか? 格差と孤立を深める社会を読み解き、解決策を提示する。

定価

1,012

円
(10%税込)
ISBN

978-4-480-07769-1

Cコード

0236

整理番号

1939

2026/10/06

判型

新書判

ページ数

256

頁
解説

内容紹介

お金がなければ
ダメですか?

少子化が止まらない。このままでは、この国に子どもがいなくなる。
今の日本で、なぜ子育ては「ぜいたく品」となってしまったのか? 
背景には、教育や生活のすべてを「商品」にしてしまう資本主義の仕組みがある。
何をするにもお金がかかる。家計は圧迫され、支援は現場に届かず、子どもは居場所を失う。すべてが「自己責任」に委ねられる。
『下流老人』で日本を代表する論客となり、NPOで日々貧困相談を受けている著者が、格差と孤立を深める社会の現状を批判し、解決策を提示する。

子育て投資の罠/何をするにも金、金、金/「自己責任」の呪い/「孤立」という名の貧困/子どもの声は騒音か/親の所得で学力が決まる?/子育ては今や「ぜいたく品」

目次

はじめに 日本から子どもがいなくなる日
日本の子どもたちが絶滅する?/不十分極まりない貧困対策/本書の構成

第1章 子育てはなぜ「無理ゲー」なのか?――止まらない少子化を考える
貧困に苦しむ当事者たち/①教育虐待のケース:家族崩壊と10代陽菜さん(仮名)のサバイバル/「親権」という分厚い壁/②生活苦のシングルマザーのケース:夫のDVによってシングルマザーとなった朝子さん(仮名)/雇用の流動化というリスク/③精神的DVと重度介護のケース:最重度の知的障害のある子どもと一緒に、モラハラ夫から逃げたい恵さん(仮名)/DVと介護の二重苦/④大学教育費問題のケース:生活保護と大学進学が引き起こす「貧困の二重苦」/親から子に受け継がれる貧困/⑤子どもが引きこもりのケース:息子の「ひきこもり」という困難と生活困窮/年金・医療・公的支援の不備/⑥外国籍のケース1:インフレの直撃と「制度の壁」が阻む在留クルド人世帯の生活困窮/偏見という名の「もう一つの壁」/⑦外国籍のケース2:仮放免という「法的な消去」と、次世代に連鎖する教育の壁/非人道的な「仮放免」措置/「電車への飛び込み」が映す現代の病理/家出という「命がけの駆け引き」/「偽りの居場所」で性的搾取に遭う/売春防止と買春防止の議論が始まる/性を売ることは「個人の自由」なのか?/いじめと教育崩壊の現場/日本の若者は世界で最も自ら命を絶つ/今の日本が失った二つのセーフティネット/とにかく子どもが生まれない/少子化の原因は経済的負担なのか?/子育ては「ぜいたく品」か?/政府は少子化対策を本気で考えていない/生まれる前から学力が決まっている?/ コラム「転生モノ」アニメはなぜ「ここではないどこか」を希求するのか?

第2章 子どもの貧困対策 失敗の本質
貧困は人とのつながりを失わせる/「健康で文化的な最低限度の暮らし」とは何か?/「子どもの貧困」とは「大人の貧困」でもある/子どものニーズは十人十色?/「貧困女子高生論争」に見える底知れぬ不寛容/子どもの貧困対策法と貧困対策の現状/子どもの貧困は人権侵害/貧困はひとり親世帯に集中している/支援のしかたが間接的過ぎる!/「子どもの貧困率」という数字のトリック/数値では測れない「貧困」というもやもやしたもの/取り残されたひとり親世帯/学校に行かなくても勉強はできるのか?/孤立する子育て世帯/ナラティブアプローチで子どもを捉える/「子の物語」と「親の物語」をいかにすり合わせるか?/偏差値教育という悪魔の指標/その無力感は自分のせいではない/親の所得が子どもの学力に直結する?/子ども食堂の現状と課題

第3章 現金給付では解決しない―真に必要な貧困対策を模索する
ただ現金を配るだけでは、貧困は解決しない/「推し活」や「美容」という資本主義の沼/「子育て投資」という罠/「すべては自己責任」という呪いから目を覚ませ/ベーシックサービスとは何か/「弱者を生まない社会」への胎動/生きることはいつから「買い物」になったのか?/「必要不可欠」を市場から切り離す/「給食無償化」から議論の活性化を/「高校無償化」が覆い隠す格差の再生産/大学でも進む無償化政策/子育ての脱商品化とシェアリングエコノミーの陥穽/孤立こそが最も過酷な貧困である/ コラム増えるランドセルを配る自治体

第4章 誰が子どもを育てるのか?―「公」という意識の欠落
子どもの声は騒音か?/「ホモ・エコノミクス」という生き方―損得勘定の計算機/「無価値」なものが排除される社会/子どもは迷惑なのか?/子育ては「ハイリスク・ローリターンの個人投資」/公園が足りない、公園はいらない?/図書館・児童館といった「無料の空間」の危機/図書館という職場の「搾取」構造/何をするにもお金がかかる/増え続ける子どもの習い事/不安を煽る宣伝広告に踊らされる子育て/SNSのアルゴリズムと「子どもの心」/お金を払わなくてもいられる場所をどうやって増やすか/「誰のものでもない、みんなのもの」という思想/「資本の論理」から子どもを守るには/宮崎県延岡市に見る「データと居場所」の最前線/「子ども食堂」の草の根精神/子どもは社会で育てる、という意志―「孤立」から「結び目」へ/ コラム大谷翔平は家族だけで育てられない―「天才」を囲い込まない地域の余白/ コラム藤井聡太も同様である―将棋界の「神童」を生んだ無償の社交場

第5章 資本主義をやめれば、少子化は解決する
資本主義で幸せになれるのか?/資本主義という「バグ」だらけのシステムが生み出した社会福祉/「資本主義ぎらい」の仲間を増やしたい/日本で突然起こったマルクス・ブーム/子どもの環境を資本主義から切り離す!/カネがなければ生きていけない社会を一度やめてみよう/マルクスは資本主義をどう変えるのか?/疎外された私たちへ/銭湯という温かみのある「サードプレイス」/技術を習得することで、「交換可能な部品」を脱する/農業軽視の歪んだ教育がもたらす問題点/ITや英語よりも重要なこと/ブルシット・ジョブだらけの転職サイト/なぜ好きなものを仕事にできないのか?―子ども食堂の少女が投げかけた問い/命を支える労働は、なぜ買い叩かれるのか?/お金のある無しに、自由が左右されてはならない/資本主義の先にある社会を考えてみる

おわりに
子ども・子育てに関する相談窓口の一覧
参考文献

著作者プロフィール

藤田孝典

( ふじた・たかのり )

藤田 孝典(ふじた・たかのり):1982年生まれ。生活困窮者支援ソーシャルワーカー。社会福祉士。東京福祉大学保育児童学部専任講師。専門は現代日本の貧困問題と生活支援。反貧困ネットワーク埼玉代表。元・厚生労働省社会保障審議会特別部会委員(生活困窮者自立支援法)。『下流老人─一億総老後崩壊の衝撃』(朝日新書)、『貧困世代─社会の監獄に閉じ込められた若者たち』(講談社現代新書)、『未来の再建─暮らし・仕事・社会保障のグランドデザイン』(ちくま新書、井手英策、今野晴貴との共著)、『中高年ひきこもり─社会問題を背負わされた人たち』(扶桑社新書)、『棄民世代─政府に見捨てられた氷河期世代が日本を滅ぼす』(SBクリエイティブ)、『コロナ貧困─絶望的格差社会の襲来』(毎日新聞出版)他多数。

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