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内容紹介
一揆といえば、虐げられた民衆が農具や竹槍を手に極悪非道な領主たちに立ち向かう、そんなイメージを抱きがちだ。しかし、それは戦後歴史学が生み出した幻想に過ぎない。史料を丹念に読み解くなかで見えてくるのは、革命や暴動といった固定観念とはほど遠い、権力者とのしたたかな折衝のあり様だ。一揆とは、暴発的な武装蜂起ではなく、既成の社会関係では対応できない危機に直面した人々が「契約」によって生みだした、新たな社会的つながりなのだー。これまで語られてこなかった一揆の実像と、現代の社会運動にまで連なる結合の原理を、新進の中世史家が鮮やかに解き明かす。
目次
文庫版まえがき
はじめに―揆は反体制運動なのか?
「ポスト3・11」の不安な時代に/現代社会は「新しい中世」/戦後歴史学の「一揆」観/一揆は「人のつながり」/本書の構成
第1部 一揆とは何か
第1章 百姓一揆は幕藩体制がお好き?
竹槍一揆の歴史は十年間/「刀狩り」の真相/飛び道具を使うな/非武装を貫く百姓一揆/百姓に怪我でもあらば、御気の毒/凶暴な明治の新政対一揆/百姓一揆は「一揆」を自称しない/江戸時代は「一揆」禁止の時代
第2章 中世こそが一揆の黄金時代
荘家の一揆・土一揆・国人一揆/「暴動」か「正義」か/諸大名の「官邸包囲デモ」/強訴は理不尽/神様を怒らすな/寺社の強訴はデモ/逃散はストライキ―荘家の一揆/百姓の義務・領主の義務/そもそも一揆とは何か?/仲良しクラブも「一揆」なのか
第2部 一揆の作法
第3章 一味同心―正義と平等
一味同心するということ/死なば諸共/一揆が正義である理由/一揆を貫く平等性原理/覆面が役に立つとき/一味和合と一味同心/寺院社会の変質と「一味和合」/仏ではなく神に誓う/神仏習合と本地垂迹
第4章 一揆のコミュニケーション
一揆の情報伝達「天狗廻状」/傘連判・車連判/中世の「高札」はネットの掲示板/食べ物のウラミはこわい―「アラブの春」と「京都の秋」/金持ちは寄付をしろ/連歌―一揆の文化/イベントとしての一揆/匿名性による平等性
第5章「一味神水」はパフォーマンス
「一味神水」という儀式/なぜ起請文を飲むのか/一味神水は神秘体験か/「空気」という集団心理/焼く起請文と残す起請文/神に捧げ人に渡す/荘家の一揆の交渉術/「一味神水しました」宣言
第6章 起請文が意味するもの
「一揆契状」という文書/部外者に届けられた一揆契状/読んでもらうことが前提/宣伝される集会/徳政一揆は訴える/暴力に訴えるのも「訴訟」のうち/「強訴」としての山城国一揆/国人たちのパフォーマンス/反守護一揆の特徴/等身大のしたたかさ
第3部 一揆の実像
第7章 「人のつながり」は一対一から
国人一揆と百姓/松浦一揆と海民/百姓の「逃亡」の実態/「自治共和国」という幻想/二人でも一揆/交換する一揆契状/一対一の関係の連鎖/集合しない一揆/「他言無用」の秘密同盟/敵とこっそり手を結ぶ/一揆とSNS/君の大事は私の大事/デマへの対処法
第8章 縁か無縁か―中世の「契約」
中世は「契約」社会/一揆契状は契約状/義兄弟の契り/兄弟が「父子」に/親子契約/「親子契約之譲状」と中世的「家」/養子との違い/兄弟契約/一揆は「無縁」か?/一揆の中の「縁」/起請文形式であることの意味/一揆契約が築く新たな絆
終章「一揆の時代」ふたたび
「百姓一揆」化する脱原発デモ/「強訴」を超えて/私たちにできること
参考文献
あとがき
文庫版あとがき
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