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ちくま新書

検証 大阪維新の会

——「財政ポピュリズム」の正体

「身を切る改革」の落とし穴

誰に手厚く、誰に冷たい政治か。「身を切る改革」、授業料無償化から都構想、万博、IR計画まで。印象論を排し、財政データから維新の「強さ」の裏側を読みとく

定価

968

(10%税込)
ISBN

978-4-480-07627-4

Cコード

0231

整理番号

1802

2024/07/08

判型

新書判

ページ数

224

解説

内容紹介

「身を切る改革」の落とし穴

結党から十数年の間に地域政党の枠を越え、国政でも存在感を見せる維新の会。公務員制度や二重行政にメスを入れる「身を切る改革」や、授業料の完全無償化が幅広い支持を得る一方、大阪都構想や万博、IRなどの巨大プロジェクトは混迷を極める。〝納税者の感覚〟に訴え支持を広げる政治、そしてマジョリティにとって「コスパのいい」財政は、大阪をどう変えたか。それは誰に手厚く、誰に冷たい政治なのか。印象論を排し、独自調査と財政データから維新の「強さ」の裏側を読みとく。

目次

第一章 大阪維新の会とはどんな政党か――「定説」の再検討
財政は政策の駆動力/維新支持は大阪・関西でどのように広がったか/維新支持者は「特殊な人びと」か/維新の会は「小さな政府」か/「維新は大阪を豊かにした」は本当か/本書の構成

第二章 主要政策を読みとく
主要政策をふりかえる/大阪都構想の背景/一度目の住民投票/都構想へ二度目の挑戦/二度目の住民投票とその否決/公務員制度改革の思惑/手厚い教育政策/公教育に競争原理を導入/公立病院の「二重行政」とは何だったのか/「大阪モデル」の光と影/ふたたび大阪で万博を/IRは持続的成長の呼び水となるか

第三章 維新支持の構造――大阪府民は「特殊な人びと」か
クラウドソーシング調査という手法/大阪は「特殊な場所」か/維新支持は高所得層か、低所得層か/維新の政策は誰に、どのように支持されているか/二極化する「経済成長」への評価/教育政策はどう評価されているか/都構想、万博、IRは支持されているか/コロナ対策はどう評価されたか/維新支持者は「普通の人びと」

第四章 財政から読みとく――維新の会は「小さな政府」か
維新の会は新自由主義?/財政データの解像度を上げる―一人あたり額と偏差値/大阪維新が運営する「大きな政府」/「中之島一家」とは何か/公務員組織の縮減/委託経費の構造変化/「官から民へ」の経済的意味/大阪維新の会の均衡財政主義/教育費をどう変えたか/選別主義と普遍主義/普遍主義的な教育政策を読みとく/生活保護はどう変わったか/障がい者、高齢者の福祉はどう変化したか/コロナ禍での都市開発/維新財政と普遍主義/財政ポピュリズムのジレンマ

第五章 「大阪の成長」の実像――「維新は大阪を豊かにした」は本当か
「大阪の成長」とはなにか/大阪の成長は税収に還元されたか/大阪は本当に経済成長したか/「大阪の成長」は所得増につながったか/外国人客数から読みとく/公示地価から読みとく/「都市経営」という思想/「大阪の成長」と財政ポピュリズム

第六章 財政ポピュリズムを乗り越える
大阪府民は「普通の人びと」/政策にみる「財政ポピュリズム」/「大阪の成長」の光と影/既得権益批判と財政ポピュリズム/財政ポピュリズムの限界/均衡財政主義と普遍主義/財政ポピュリズムと社会の価値の共有/価値を共有するのは簡単ではない――維新の会の「緑の政策」/「コスパ」を乗り越える


おわりに
参考文献

著作者プロフィール

吉弘憲介

( よしひろ・けんすけ )

吉弘憲介(よしひろ・けんすけ):1980年、長野県生まれ。法政大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。現在、桃山学院大学経済学部教授。財団法人とっとり地域連携総合研究センター研究員、下関市立大学准教授、桃山学院大学経済学部准教授を経て2021年10月より現職。専門は財政学、地方財政論。主著に「大阪維新の会による大阪市財政運営の実態」(『自治総研』516号、2021年)、『国税・森林環境税――問題だらけの増税』(共著、公人の友社)など。

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